日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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虚言症


 虚言症、ミュンヒハウゼン症候群とも言います。周囲の関心や同情を引くために病気を装ったり、自らの体を傷付けたりするといった行動が見られる。1951年にイギリスの医師、リチャード・アッシャーによって発見され、「ほら吹き男爵」の異名を持ったドイツ貴族ミュンヒハウゼン男爵にちなんで命名された精神疾患


 またも文春がすっぱ抜いた、最近の”ショーン・マクドアル・川上”氏の記事を読むにつけ、思い出すのは、自分で付いた嘘の世界を完結させる為に自らの命を絶った姫草ユリ子の物語夢野久作「少女地獄”なんでもない”」。天才的な看護婦ユリ子は、自分の発した嘘で自縄自縛となり、嘘のつじつまを合わせるためにまた嘘を積み重ねていく。当然嘘はばれて、居場所がなくなってしまう。
 
少女地獄 (角川文庫)

 別に嘘などつかなくても、看護婦として患者さんへの対応は素晴らしいものだったのに、自分の経歴を偽る。なぜそうまでして嘘をつくのか普通の人にはわからない。恐らく、他人に認められたいという欲求(承認欲求)が人一倍強いのだとは思います。
 人間は社会的な生き物で、人からの評価や視線でその人の形を浮かび上がらせていると考えると、たくさんの人に好印象を持たれることで自らの価値を規定することが満足につながる、というのもわからなくはありません。しかしそれが虚構であった場合、形作られた”自分”すら虚構になってしまいます。

 半村良の嘘部シリーズは、そういった虚言症は、偶発的に発生する疾患ではなく、過去に嘘の才能を持った一族(嘘部)があって、嘘でもって天皇家(国)を守っていたというお話し「闇の中の系図」「闇の中の哄笑」「闇の中の黄金」)。
 
闇の中の系図 (河出文庫)

 嘘をつくことをよしとしない今の世界。確かに嘘はよくないけど、じゃあ、川上氏はどんな悪いことをしたのか。経歴詐称をして仕事を得ていたのだから、確かに詐欺と言われても仕方がない。でも、ちゃんと調べもせずに起用した側の責任も同時にある。それ以外にどんな迷惑を世間の人にかけただろうか。


 大騒ぎになってしまったけど、川上氏の声はすごくステキだと今でも思う。ほとぼりが冷めたころに、声の仕事で復活してください。声に嘘はないです。