日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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終戦の日、シンゴジラ(感想5)


 毎週月曜日は「シン・ゴジラ」の日、ってわけじゃないんですけど、3週連続3回目。今回は朝一の回で観ちゃいましたよw
 昔は入替制でなかったので、続けて2回見たり、名画座やニュープリント再上映とかで同じ映画を何度も観たことはありましたが、ロードショウ期間中に毎回お金を払って3回観た映画はおそらくこれが初めてじゃないかなぁ。しかもまだ観に行きたいし、blu-ray出たら絶対買う。何回観ても新しい発見がある稀有な映画。好きとか嫌いとかじゃない。まさに庵野マジック(というか商法ww)にすっかりはまっています。


(物語の中身に触れてますのでご注意ください。しかも今回は更に超ネタバレの考察になってますのでネタバレ×な人は観てから読むことをお勧めします。)


 ヤシオリ作戦について
 正式名称は「巨大不明生物の活動凍結を目的とする血液凝固剤経口投与を主軸とした作戦要綱」…矢口じゃないけど長いわ(^_^;)。
 今回のゴジラを倒すために政府の巨大不明生物特設災害対策本部(略称;巨災対)が考えた対策案。再上陸後武蔵小杉付近での自衛隊との交戦により、火器による駆除、撃退ができないことが分かる。更に活動エネルギー源として体内に生体原子炉を内蔵している可能性があることが示唆される。皮膚の硬さから注射は受け付けない為、血液凝固剤を口から飲ませることで、血流による熱排出を阻害、活動を止める事を目的に準備を進めます。


 映画の中での説明が省かれているので、知らない人にとっては???な作戦名。ヤシオリとは何か。
 ヤシオリは「八塩折」と書きます。正確には「八塩折之酒」といって、スサノオノミコト(紀:素戔嗚尊/記:建速須佐之男命)が高天原を追放されて後、出雲に降りたち、そこでその地を荒らしていた八岐大蛇という怪物をやっつける話で、何しろでかい怪獣なんで、スサノオは、いったん熟成した醪(もろみ)を搾って濾別した酒でさらに仕込むという作業を繰り返した酒を用意して、8つの門を作りその前に置きます。八岐大蛇は、8本の頭首を持つ怪物。キングギドラの2匹分+2本ですね。八岐大蛇は酒好きなので、つい門に首を突っ込み樽酒を飲み、へべれけになってしまいます。莫迦ですね。すっかり泥酔した八岐大蛇にスサノオは携えた十拳剣、別名天之尾羽張剣(アメノハバキリノツルギ)で切り刻み退治します。この時に八岐大蛇のしっぽから出てきたのが草薙剣(クサナギノツルギ、別名:天叢雲剣アメノムラクモノツルギ)といって、天皇家三種の神器になってます。


 “巨大生物に薬剤を飲ませてやっつける”という意味では、まんまヤマタノオロチ神話なわけで、やっつける武器となったのが今回は圧送ポンプ車なので、それを“アメノハバキリ”といっています。
 初回に観ただけでは、ヤシオリ作戦はともかく“アメノハバキリ”なんて正直なんのこっちゃ?です。パンフレットにすら説明がない。
 そしてなにより、内閣官房副長官、矢口の日本神話に対する造詣の深さに驚かされます。私も上代文学専攻していなければ、いきなりこんな単語が出てきても何言ってるかさっぱりわからなかったと思います。


 最後の謎―尾から現れる人型― 個人的な考察
 以降は、当面の間透明表記にします。反転すれば見えます。(公開1ヶ月を越えましたので、反転表記から通常表記に変更します2016.09.17)


ヤシオリ作戦が無事成功しゴジラは中心部−196℃となり東京駅直上で凍結、活動停止します。そして本当のラストシーンで凍結したゴジラの尾からいくつもの人型が出てくるように見えます。
これは何を意味しているのか?
今回のゴジラは、人の8倍の遺伝情報を持った完全生物として描かれています。あらゆる環境に高速で進化し適応していく。人間って旧人類(ネアンデルタール人ホモサピエンス・イダルトゥ)からホモ・サピエンスに進化したのが25万年前。地球誕生から40億年とすると、まだ現生人類になってそんなに時間たってないんですが、地球の歴史から見たら高速で進化しています。
日本神話で、八岐大蛇の尾から出てきたもの(草薙剣)が、日本人の象徴たる天皇家の御印になっています。とすると、ゴジラから出てきたのは、やっぱり"人"と考えるのが妥当じゃないかと思うのです。“GOD”ZILLAですから、国生みをする能力がある。高天原の神々はたくさんの神様を産んでいますしね。庵野監督は「シン・ゴジラ」を新しい国生み神話として作ったと思うのは穿ちすぎか…。
今回のゴジラは、震災やそれに伴う原発の問題について描いていることは間違いありません。そんな閉塞状況の中でも、一人ひとりが希望を持って一丸となって再建に臨めば、きっと日本は再生していく。そういう願いが込められているんじゃないかと思います。 ただ、庵野監督は多くを語りませんので、何が正解かわかりません。あくまでも私見ということで。
(5回目を観ての追記2016.9.17)分化しようとしている人型をよくみると、四肢のある人間ではありますが"ゴジラの背びれ"のようなものがあります。異形です。これは、完全生物(の途上)としての第4形態であるゴジラから、更に進化した第5形態ではないか。ただ背びれも分化途上で、その後羽根に変化すれば、天使のようになる可能性も…。現在の人間は進化の袋小路で、ゴジラの尾から現れるのが、次代を担う新人類という考えもできるかもしれないなとも思いました。



 なんでも解説してしまうと確かに面白味は半減するかもしれないけど、なんでこう説明不足、わかる人だけわかればいいという作り方を毎回庵野監督はするんだろう。まぁそれがオタクのオタクたる所以かもしれませんが…。