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「洗礼」

洗礼 全4巻 完結セット (文庫版)(小学館文庫) [マーケットプレイス コミックセット]
 楳図かずお

 ずっと読みたかったんですがやっと読みました。昭和49年『週刊少女コミック』連載ですから、連載時は9歳。少女漫画雑誌を読むようになったのはもっとずっと後なので、雑誌連載中は知らず、10年後くらいに「漂流教室」を再読してから楳図かずマイブームが到来。その時に読もうと思ったんですけど、楳図かずおの漫画って毒気が強く、手に取る前にブームが去ってしまいました。
 その後折に触れ「洗礼」が傑作だという話を聞いており96年に映画化された時も見たかったのですが結局見ていないという自分的には微妙にタイミングがずれた作品でした。

 あらすじ
美貌を誇った往年の大女優・若草いずみは、子役時代からの厚化粧や撮影所の強いライトの影響などにより、やがて顔に深いしわや醜いあざが出来てしまう。幼い頃から人一倍「美醜」や「老い」といったものに敏感だったいずみは、そのあざのせいで精神の安定を欠くようになり、ついには、若さと美貌をとりもどすため、女児を出産し、その娘に自身の脳を移植をするという計画を企てる。■いずみは、無事出産した娘をさくらと名づけ、彼女の頭が十分大きくなるまで大事に育てあげた。周囲からは良き母・娘と見られ、さくらが書いた作文「わたしのやさしいおかあさん」は文部大臣賞を受賞するほどのものであった。■一見良好な母・娘関係の裏で、いずみの主治医は、家の2階で、来るべき脳移植手術にそなえ、動物実験を繰り返していた。さくらは不気味なものを感じ取ったのか、決して2階に行くことはなかった。ある日、さくらが思い切って2階に上がってみると、動物実験の痕跡である大量の死骸と、2台のベッドを発見。母親の真の意図に気づいて逃げ出そうとするが捕まってしまい、おぞましい脳移植手術は強行される。■生まれ変わったいずみ(さくら)は、普通の女としての幸せを手に入れると称して、担任である男性教師・谷川の愛をつかみ取ろうと決意。これまでのさくらのボーイフレンド(同級生)には、子供なんてもう相手にしない、自分が欲しいのは大人の愛だと言い放つ。しかし、独身だと思っていた谷川に実は妻子がいることが発覚。そこで、いずみは策を講じて谷川の家にうまく乗り込むと、谷川の妻を陰湿の限りを尽くしていじめぬき、谷川を小学生の体で不気味に色っぽく誘惑する。■いったんは、妻を病院送りにして谷川から離婚の約束をとりつけ、目的を達したかに思ったいずみ。だが、勝ち誇るのもつかの間、実は谷川夫妻そろっての芝居にだまされており、妻は実家に避難し、谷川は密かにさくら(いずみ)に病院でカウンセリングを受けさせようとしていたことを知って涙を落とす。■おりしも、手術前のいずみの顔にあったのと同じ、加齢や過度の化粧による醜いあざが、小学生であるさくら(いずみ)の顔にも出現。さらには、若草いずみの引退後を追跡調査するルポライターも現れ、いずみは徐々に追い詰められていく。いずみは最終手段として、さくらの親友である良子に全てを打ち明け、谷川の妻である和代への脳の再移植を強行しようとするのだが・・・。(wikiより)


 自分の美貌の為に娘の身体に自分の脳を移植して第2の人生をやり直そうとする話なのですが、楳図ワールド全開、フルスロットルです。わざとミスリードをして恐怖を煽るやり方は分かっていながらドキッとします。
 
 女性の美に対しての執念というのがどれほどのものかは分かりません。勿論このお話はフィクションですが、もし自分の意識をそのままに身体を若返らせることが出来たら…と考えれば、今の私的には確かにうらやましい話。とはいえ、この物語では9歳の女の子になり小学校からやり直す。いやいや18歳くらいなら良いけど、9歳は戻りすぎです。しかもまだ受験とか就職とか、学期毎のテストとか絶対戻りたくありません。今の状態で身体だけ30年若くなるというのが理想。

 という表面的にはそういう話なのですが、実は最後まで読むと若さとか美醜の問題ではなく狂気と正常の間で人間はどう生きるのかという深淵なテーマになっていたりする。

 読んだことない人、お勧めです。昔の漫画ってなんかやっぱすごいわ。