小松 左京著・文春e-Books/kindle
「日本沈没」は、徳間文庫版、小学館文庫版を読んでいます。今回はkindle版が、タイムセールで299円(正価800円)だったのでついポチっとしちゃいました。
中身は旧版と勿論一緒ですが、図版や写真、巻末に著者ご子息で現在小松作品の管理をされている小松実盛さんのご家族ならではの、小松家の歴史と小松左京の戦争体験の「日本沈没」が書かれた背景を詳細に開設されています。この解説を読むだけでも今回の<決定版>は十分価値があります。
日本が沈没する。その予兆を発見した地球物理学者の田所博士。当初は半信半疑だった政府も、さらに詳細な調査と並行して国民を日本列島から脱出させるD計画を発動させる。
予測では2年後となっていた災害が想定以上の速さで進行し、あらゆる場所で地震噴火が相次ぐ。日本沈没が現実のものとなり、D計画スタッフは日本人生き残りの為に死力を尽くす。
あらすじを述べてしまえばこれだけの話なのですが、登場人物が何とかこの最悪の事態に粉骨砕身して1人でも多くの日本人を助けようとする姿が胸を打ちます。この物語を読んでいると、日本人に生まれてよかったと心から思えますし、これまでも阪神淡路、東日本と2度の大震災においても従容と受け入れ復興に邁進する人々の気持ちが理解できます。
「シンゴジラ」の庵野秀明総監督、樋口真嗣監督(06年版の監督)は、73年版映画「日本沈没」のファンだったそうで、ゴジラという"災害"を通して政府やスタッフがどう立ち向かうか、という点において「日本沈没」と相似形の物語であるといえます。
もともと「日本沈没」は第1部であり、第2部は、2006年後輩のSF作家谷甲州との共著という形で出版されましたが、何故第1部出版後にすぐ第2部に取り掛かれなかったかが、解説で明らかにされます。
本来は1/3程度の脱出を予定してたところ、愛着がわき過ぎて2/3、8000万人もの日本人を"流浪の民"にしてしまった結果、今後待ち受ける苦労を考えるととても筆を進めることができなかったとの事。仏心で生かした挙句により厳しい現実に向かわせざるを得なかったことが逆に2部執筆を躊躇わせた。
日本沈没は日本人が読むべき傑作です。本苦手…という人は73年版の映画をお勧めします。06年版は見た目は新しくてとても良いのですが、ストーリーは原作改悪ですので…。
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