日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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「天窓のある家」

天窓のある家 (新潮文庫)
篠田 節子著・新潮文庫
 07年5月に読んでいたのですがすっかり忘れての再読orz。読みたくて再読と違って時間がもったいないと思ったけど、内容をしっかり忘れていたので結果オーライ?です。
 いずれも30代から40代くらいの女性が主人公の9つの短編。
・「友と豆腐とベーゼンドルファー
  家でピアノ教室をし、切り詰めながら生活をする有子。夫は突然会社を辞めてきて、福祉事務所の職員をしている。ある日、夫がかつての同僚の娘が病気で100万円の借金を頼まれてくる。家庭の事情も知らないで…と憤慨する有子。
・「パラサイト」
  主婦の祥子と独身の奈々実は小説家。住み心地の良い実家に住んで浮ついている奈々実に男性を紹介するが…。
・「手帳」
  管理職としてバリバリ仕事をこなし家庭での役割も完璧にこなす美香。張り詰めていた気持ちが手帳を紛失したことで歯車が止まってしまう。
・「天窓のある家」
  夫に浮気の疑念が拭えない秀子。学生時代の友人香は隣の"天窓のある家"に住み、軽やかに生活をしている。そんな香に対しての嫉妬が徐々に強くなっていき…。
・「世紀頭の病」
  今世紀初め、29歳になると発症して死に至る"老衰症候群"が女性に流行する。その病に侵された春菜は、見る見るうちに年老いていく。夫も同じ病気に侵されるが男は男性器が機能しなくなるだけ。病気に治療薬ができたが、女性は若返ることなく進行を抑えるだけ、男性はその薬を飲んだ時に見ていたものに欲情してしまう副作用が…。
・「誕生」
  かつて仕事中に流産をした直子は、ある時から水子の幻覚を見るようになる。
・「果実」
  老いた母、澄佳は夫と別れたいという。長男は母に賛成する。夫に尽くしてきた母が別れたい理由は…。
・「野犬狩り」
  バブル時期のシナリオライターの寛子とレイ。久しぶりにレイに逢った寛子は彼女の肌に痣を見つける。レイとほぼ同年代で、田舎にこもった寛子と比べレイは昔よりも艶やかになっている。変な男に引っかかってるかと訝るが…。
・「密会」
  男は決まって水曜日に定時帰宅をして実家で一人で暮らしている母のもとに通っている。それをキャリアウーマンの妻に言えずにいると妻は夫の不貞を疑う…。


 一見、仕事と家庭の両立を完璧にこなしていたりする女性たちが抱える闇は深い。
 1985年制定、翌86年より施行された男女雇用機会均等法は、働きたい女性にとって勝ち得た権利だったけど、施行されて30年以上経っても女性の家事負担はほんの少し減ったくらいで、家事の大半は女性が行っている家が多い。
 「手伝おうか」なんて言うと、「そもそも手伝うっていうのが、自分の仕事だと思っていない」と怒られる。
 雇用機会均等法は、女性が働く機会を確かに増やした。やりたいと思った仕事を続けられるのは、この法律以前から考えたら画期的な事だったけど、だからと言って女性がすべて社会進出をすることが果たして良い事なのか、という疑問を常に感じています。
 産む機械と言った某大臣の発言は許せないけど、女性が出産適齢期に仕事をすることで出産の機会を逸してしまう。出産後は子育てを夫婦でやるにせよ、やはり女性でないとできない事も多々ある。産む機械は言い過ぎですが、産む性、産める性であることは紛れもない事実です。社会に出て20代後半から40代前半って一番仕事が充実して面白い時期であると同時に大変でも時期でもある。そんな時期に社会に出ていては出産はままならない。
 子孫を残すことは個人的な話ではなく、国家存亡の話です。これを「産むも産まないも自由」という社会にしてしまったことが誤算だったと思う。
 だからといって、「女は適齢期に必ず子供を産め」とは言えない世の中になってしまいました。

 社会と家庭の両立を求められる女性は大変です。男なんて仕事だけしてても何にも云われません。逆に「一生懸命仕事して偉い旦那さんねー」なんて褒められたりする。
 そういう意味では、雇用の機会は均等になったけど、社会そのものは女性の社会進出を実は認めていないのではないかと思うのです。 

天窓のある家 (新潮文庫)

天窓のある家 (新潮文庫)

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