日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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「恋の罪」

恋の罪―愛にさまよう女たち (リンダブックス)
園子温原作,村上桃子
2011年園子温監督作品のノベライズ。映画は以前観ておりその感想はこちら↓
http://d.hatena.ne.jp/hee/20130105
「東電OL殺人事件」をモチーフにした作品で、映画の流れは「スメラギ荘事件」として章立てされ、合間に事件を捜査する刑事吉田和子(映画では水野美紀)が補導したデリヘルの女性たちによる尋問が挿話される。
 
 このお話に男性は殆ど出てきません。男性に翻弄され堕ちていく女性たち。大学の助教授でありながらよなよな円山町で"たちんぼ"をして汚いアパートの空き部屋に忍び込み少ない金額で抱かせる女、尾沢美津子。美津子の変死体事件を捜査する女刑事で、実は夫の後輩の奴隷になっている和子。ベストセラー作家の夫を持ち貞淑な妻を演じているがそのフラストレーションが知らず知らずにたまっていき美津子と知り合ったのをきっかけに堕ちていくいずみ。
 
 表の顔と裏の顔。どんな人もその両面を持っている。でもそんなものはないようにみんな振舞っている。それはそれで社会を回すために必要な事だし、何でもかんでもあからさまにすることが良いとは思えない。問題は、その二面とどう付き合っていくかではないかと思うのです。裏面に取り込まれるのは勿論いけない事ですが、表面一辺倒では面白みに欠ける。このバランス感覚を持っていることが魅力的な人間ということ。

 「恋の罪」の女性たちは、見事に裏面に"堕ち"ていく。一方で、既に落ちきっていると思えるデリヘルの女性たちの証言に、表面への憧憬が垣間見えるのは何とも皮肉な話。
 この小説版は映画だけではとらえきれない3人の心模様と、物語に底流する人としての生きる哀しみを補完できる作品ではないかと思います。

恋の罪―愛にさまよう女たち (リンダブックス)

恋の罪―愛にさまよう女たち (リンダブックス)