帰り。
新宿西口は、いつも人でいっぱい。
小田急百貨店が閉店すると、どこからともなく占い師が湧いて出てくる。
この人たちは、まさか占いだけで飯食ってんじゃないよな…。
人気がある人は客待ちがあるが、そうでない人は暇そうに筮竹をいじったり、
ぎょうぎょうしく水晶玉をのぞいていたりする。
いつものように重い足を引き摺りながら歩いていると、一人の占い師に声を掛けられた。
「もし、あなた」
いつもなら無視してしまうところ、この「もし、あなた」という時代掛かった呼び止め方が気になり、思わず立ち止まってしまった。
「あなたですよ」
占い師がキャッチで客を捕まえるの?
「お代は要りません。ちょっと手相をみさせてください。」
「では拝見」
有無を言わせず席に座らされ、いきなり手をとられた。
「やっぱり…。あなた、死にますよ」
「!!!!」
「ほら、この生命線を見てごらんなさい。ここで切れてるでしょ。ここもう過ぎているんですよ。だからあなたはホントは生きていてはおかしいんです。」
藪から棒になにをいいだすんだ、このおっさん。
「まだ死にたくないですか?それならいい方法を教えてあげましょう。利き手は右ですか」
「これから、1週間のうちに、利き手を他人と合わせてください。合わせ方は右手の人差し指、中指、そして親指の付け根を合わせるように。そうすることで、合わせた人の生命線が転写されます。」
・・・
「相手?相手は勿論あなたの生命線が転写されますから...。後は言わなくてもわかりますよね」
こんなことがあったのが、今日から1週間前。
結局誰とも手を合わせていません。
さて今日何が起こるんだろう…。
なんてことを考えながら、家路に着きました。
もちろん創作ですよ。
ちなみに私の生命線が短いのは本当です。
疲れていると碌な事考えやしない...。