出勤の電車の中。
最近スマートフォンの大きな画面で、TVを録画したものやPVなんかを見ている人が結構います。満員電車の中なので、つい目がいってしまいますよね。今日目の前にいた、歳の頃なら、30代前半くらいのサラリーマンが熱心に画面を見ていました。観るともなしに目に入った映像は…「第3の選択」のバランタイン博士のテープと呼ばれるもの。
「第3の選択」というのは、1977年、英アングリアTV制作の番組で、アポロ計画後、米ソが協力して火星移住計画を遂行、1962年5月ついに火星への第一歩を記した際の極秘映像テープ。それをバランタイン博士が持ち出したという触れ込みのもの。1982年に矢追純一が日本で紹介して一躍有名になったこのビデオ、古くはラジオドラマ「宇宙戦争」でアメリカが大パニックになったことがあったり、今でいえば、映画「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」やフジテレビ「放送禁止」みたいなフェイクドキュメンタリーという手法ですが、当時高校性だったわたくし、完璧、真実と思って見た覚えがあります。サラリーマン氏も真剣に見入っていて、5分弱のその映像が終わると、「火星、生物」とか検索してやんの。笑ってしまいました。ま、こういう手法を使って、事実をさりげなく世間にリークしているっていう陰謀説は決して嫌いではありませんが…。
帰りの電車の中。
まだ20代であろうサラリーマン。酔っ払ってんのか、足を投げ出し、背もたれに頭を乗せた姿勢で、ブツブツ言っている。何言ってのかなーと耳をそばだてていると「くさなぎー」と何度も言っている。満員電車で座ってる人が足を投げ出したように座っていると、吊革につかまっている私としては、膝はあたるし、両足の間に自分の足を入れなければならず、若い女性ならうれし…じゃない、迷惑この上ない。もう少し混んできたら文句言ってやろうかと思ったら、ムクと起きて今度は、英語のテキストを辞書を片手に熱心に読みだした。それでもまだ、ぶつぶつと「うるせえな」(電車の窓があいていてその風鳴りの音)とか突然吠えてる。なんだこいつ…と思ったけど、ちょうど降りる駅に着いた。周りの人も怪訝な顔をしていたけど、季節の変わり目にはこういう変な人が出てくるので気をつけましょ。
さて、最寄駅に着いた私、息子、蓮に似た駅員がいることを発見。そーいえば先月から駅でバイトをしているって言ってました。鉄ヲタの彼としては毎日鉄道員の制服を身につけ、さぞご満悦に違いなかろうが、夜から深夜にかけてのバイトでは、混雑する駅の整理、酔客の落し物掃除と、大変な思いもしているに違いない。そうさ、世の大人諸氏は、嫌な仕事でもしっかり働いてお給金をいただいているんだぜ、ということを少しでも理解してくれれば父としてはうれしいぞ。