日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

思ったこと、思っていること。読んだ本、観た映画、TV。聴いた音楽…。会社でのこと、家族のこと、自分のこと。日々のうつろいを定着させています。はてなダイアリー開始は2003年、2006年4月から毎日更新継続中。2017年6月8日「はてなblog」アカウント取得、2019年1月「はてなダイアリー」から正式移行しました。アクセスカウンター2019年01月26日まではpv(2310365)です。

「小説 仮面ライダー響鬼」を読む。

 きだつよし著・講談社キャラクター文庫
 先週読み終わってたんだけど感想書いていなかったので思い出しながら書きます。
 きだつよしさんは本編のメインライターだった方。2005〜06年に放映された仮面ライダーシリーズのスピンオフ小説です。主人公響鬼をやっていたのは家電芸人、じゃなくて俳優の細川茂樹。2012現在、シリーズの主役としては最年長です。

 実は、この「仮面ライダー響鬼」、平成ライダーシリーズでは恐らく唯一全部ちゃんと観たシリーズ。これ、仮面ライダーと銘打っているけど、全然仮面ライダーじゃない。本編でも"ライダー"と呼ばれず、"鬼"と呼ばれていて、明確な悪の秘密結社がいるわけでもなく、"魔化魍(まかもう)"っていう怪物を退治する特殊能力を持った人々という設定。途中まで、バイクにすら乗らない。もともと「変身忍者嵐」をモチーフに和風テイスト満載のヒーローもののはずが、スポンサーの意向で仮面ライダーシリーズになっちゃった。そんなライダーだから、時代劇との親和性は高く、劇場版も戦国時代を舞台にしたものでした。


 今回の小説版も舞台は江戸時代。しかも元ネタとなった「変身忍者嵐」と見事にクロスオーバーしていて、嵐の登場人物は勿論、その成り立ちに響鬼の世界が深く関与している、という内容になっています。勿論石森章太郎の現設定ではなく後付けの設定ですので、パラレルワールド的に楽しめればよい。 変身忍者嵐の父、谷の鬼十(たにのきじゅう)は、元々鬼の仲間だったが、身体の弱い鬼十は厳しい修行に耐えられなかった。その為外骨格とでもいうべき「鬼の鎧」を開発、更に外科手術により身体機能を向上させる技術を身につける。それが、鬼の掟に反するということで放逐される。それを拾ったのが血車党で、言葉巧みに化身忍者の開発に携わらせる。


 響鬼の設定は、ほんとこのまま埋もれてしまうには惜しい世界観だと常々思っていて、こういった形で新たな物語が出てくるのは響鬼好きとしてはうれしい。どうも平成に入ってからのライダーは、一般人が変身ベルトを偶然手に入れたりして変身するもんだから、ライダー同志で戦ったり、邪念がいっぱいで、本来の正義の味方的なライダーではないところが、往年のライダーファンである私には受け入れられなかったりする。確かに響鬼もかつてのライダーシリーズとは違うのですが、そもそもライダーシリーズである事が間違いなこの作品ですから、そこら辺の設定の違いは、気になりません。それよりも、画面の奥にある組織の深さや、なによりもライダー同志が戦うという事がないところが良い(変身能力を失い、破門されたシュキが、鬼の鎧を盗み響鬼たちと戦うという描写はあるけど…)。


 ただ、これを響鬼の入門書にすることは出来ず、あくまでも響鬼本編を観ていた人が対象の小説。更に「変身忍者嵐」を少しでも知っているとより楽しめるという、かなり読者が限られる作品ですから万人にお勧めってわけに参りません。

小説 仮面ライダー響鬼 (講談社キャラクター文庫)

小説 仮面ライダー響鬼 (講談社キャラクター文庫)