万城目学著・文春文庫
大阪冬の陣に加わって何人もの命を奪った風太郎は、かつてのような能天気な風太郎ではいられない。とはいえ忍にも戻れない。風に流されるように、因心居士の仕事をこなし、高台院(出家した北政所)の願いを聞き入れ、忍の技を使い大阪城に潜り込む。二重三十に大阪城を包囲する徳川軍。城は落ちる寸前。そんな中で、風太郎と忍の仲間たちは、伊賀の頸木から離れ己の信念に基づいて行動し、次々と倒れていく。
これまでの万城目作品にはなかった凄惨で哀しい場面が続く。まるで「さらば宇宙戦艦ヤマト」のような怒涛のクライマックス。確かにこれだけの戦闘で、主要人物が死なないのはおかしい。でも、それでもやはり大団円を求めてしまうのはいけない事なんでしょうかねぇ。読み進めるのが辛くなってきました。
この作品を描いた作者の心境の変化を知りたい。でもこのお話しが「プリンセス・トヨトミ」に繋がっていると思えば、400年の時を越えた壮大な大団円といえなくもない。
時期的にNHK大河ドラマ「真田丸」がまさにクライマックス。真田丸の陰でこんな物語があったかと考えると面白く読めます。
「プリンセス・トヨトミ」の姉妹編といっても過言ではありませんので、「プリンセス―」を読んだ人にはお勧め。

- 作者: 万城目学
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2016/09/02
- メディア: 文庫
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