坂元裕二・河出書房新社
先日終わったTBSドラマ「カルテット」のシナリオ本。1巻は1話から5話まで。
坂元裕二さんって「カルテット」以前はあんまし意識したことなかったんです。「同・級・生(89年フジ)、「東京ラブストーリー」(91年、フジ)、映画の「世界の中心で、愛をさけぶ」のシナリオライター―さんだったんですね。オリジナル脚本も多く手掛けていて、今や安定のベテラン脚本家さんでした。
「カルテット」の面白さは、言葉にある。実はストーリーにちりばめられた数々の謎はマクガフィンといっても過言ではなく、謎そのものはあっけなく解決したり、謎のまま残っていたりする。物語で語られる真のテーマは、男女の関係。「カルテット」では、主人公の4人かそれぞれ片思いをしていたり、いくつかの夫婦、親子が描かれる。
片思いは、
・九條 結衣(菊池亜希子)→司(松田龍平)→真紀(松たか子)→幹夫(クドカン)
・すずめ(満島ひかり)→司
・家森(高橋一生)→すずめ
→有朱(吉岡里帆)
夫婦は、
・真紀と幹夫
・家森(高橋一生)と茶馬子(高橋メアリージュン)
・ライブレストラン「ノクターン」の谷村夫妻(富澤たけし(サンドウィッチマン)、八木亜希子)
親子は、
・死の床に臥す綿来欧太郎(高橋源一郎)とすずめ、亡くなった母
・家森と息子、光大くん(子役:大江優成)
・巻鏡子(もたいまさこ)と幹夫
・余命9ヶ月のピアニスト、ベンジャミン 瀧田と写真の家族
今は、人間同士の関係ってすごく面倒になっている。威厳を持った親もいなければ、親の言うことを素直に聞く子もいない。ちょっとしたことでパワハラセクハラと何でもかんでもハラスメントになり、友人関係ですら築くのがむずかしい。そういう人間同志のいろいろな関係を、時にはシニカルに、時には達観した意見をもってドラマにちりばめる。
「カルテット」は、生きにくくなったといわれる現代の縮図を切り取った作品だったところが魅力でした。いや、そういう内容で、そのドラマの中に自分が紛れ込んでいてもおかしくない状況が心地よいドラマでした。

- 作者: 坂元裕二
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2017/03/04
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