新堂冬樹著・徳間文庫
黒新堂の代表作、溝鼠シリーズの2作目。相変わらずの残酷描写。
前作の「溝鼠」(幻冬舎文庫)も酷い話でしたが、極悪人の鷹場英一は、「溝鼠」の後海外で潜伏し2年前に日本に戻り、前回と同じ復習代行業を経営している。前作では父親の源治を殺し、最愛の姉、澪をも見殺しにした。もともと源治による幼少時からの虐待が鷹場の精神を捻じ曲げるきっかけであったけど、源治の容赦のない残酷さが遺伝子に組み込まれていたわけで、"蛙の子は蛙"を体現している。姉の澪も10人いれば10人が振り向くほどの美人だが、根っこのところではやはり源治の娘で自己愛の極みという腐った家族の殺し合いの物語でした。
「毒蟲vs溝鼠」では、鷹場が以前請け負った復讐の犠牲になった男、ペットショップの真面目な経営者大黒が、鷹場を怨み、復讐をする話。その復讐の方法が、毒を持った虫を使うというもので、その方法を使って鷹場と同じ復習代行業をしていた。
出てくる出てくる、残酷描写のオンパレード。黒新堂の醍醐味ではありますが、実際に読んでいるこちらが痛くなってくる。屈折した愛情がもたらす悲劇は第1作同様。
黒新堂ワールドを楽しめる人にはお勧めですが、それ以外の方は読まない方が良いと思います。
- 作者: 新堂冬樹
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2006/04/18
- メディア: 単行本
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