昨年映画化され、原作を読んでから観ようと思っていたのですが、重い話なのでなんとなく積んでいたら映画は終わってしまい、本は棚でしばらく埋もれていました(^_^;)。
大司教キリストファー・フェレイラ神父が背教したという話が伝わり、その真偽を確かめることと自ら苦難の布教に挑むべく日本に渡るロドリゴ神父。そこに待っていたのは激しい弾圧だった。福音を授けることもままならない司祭たち。周りの信者たちは次々と捕らえられ投獄されて拷問を受け殉教していくにも関わらず、神は"沈黙"したままこの苦難から救いを与えることはない。
沢野忠庵と名前を変え、妻まで娶ったクリストファーフェレイラとの邂逅。幕府のキリシタン禁教政策の中心人物、悪魔という噂の井上筑後守との穏やかな問答。ロドリゴ神父は遂に踏絵を前にする…。
現在日本におけるキリスト教徒は1%程度だとか。弾圧された理由はいくつかあるのでしょうが、そもそも唯一神のキリストは日本人には馴染まないと思う。キリストは信者が如何に苦しもうとを助けずただ沈黙を守るのみ。フェレイラもロドリゴも、キリストから離れることによってまわりの人に救いを与える存在になるというのは皮肉な話。
禁教が解かれた明治以降もカトリックに復帰せずに先祖伝来のキリスト教を信奉した隠れキリシタンもいたとか。日本人にとってはキリストを信じることが大切なのではなくて、"先祖が信じた"キリスト教を守る事が大切だったそう。と考えると、キリスト教の普遍性って何なのだろうと思いました。色々考えさせられます。
かく言うわたくし。結婚式はカトリック教会で挙げましたが、4回の結婚講座を受けただけで入信はしませんでした。というわけでバチカンに私とカミさんの結婚証書が保管されているそうです。不信心なのによかったのかなと今でも思います。
日本人って、なんというかフレキシブルというか、いい加減というか…(^_^;)。クリスマス祝って騒いだ1週間後には無病息災を祈りに神社にいって、お彼岸、お盆には先祖供養にお寺に行く。これじゃアイデンティと宗教に求めてる外国人に呆れられちゃうわな。
- 作者: 遠藤周作
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