小松左京著・角川文庫
下巻読み終わりました。
東京大震災と名付けられた<第2次関東大震災>の後、渡老人の依頼を受けて京都の社会学者福原教授宅に小野寺が訪れたところで上巻は終わりました。
次々と始まる地震、噴火。D計画も山場。ついに首相が緊急事態を宣言し、日本民族大脱出計画が実行に移されます。
渡老人のもとで福原教授らが命を懸けて「日本民族の将来」をまとめ上げる(P102-106)。
国土を失った日本人の行く末をまとめた3つの試案。
ひとつは、日本民族の一部がどこかに新しい国を作る場合のために、
もうひとつは、各地に分散し、どこかの国に帰化してしまう場合の為に、
最後世界のどこにも容れられない人々の為に。
3番目の封筒には、もう一つの案が入っていました。そして、これらの案を考えた3人はこの案にまとまりかけたという。すなわち、
「このままなにもせんほうがいい」
映画では渡老人が山本総理に告げますが、原作では福原教授自身が渡老人に伝える、丹波哲郎総理の名シーンです。
「日本沈没」は単なる災害小説と異なるのは、災害そのものを描きつつ、日本人とは何か?という事を究極まで突き詰めて、読む人に深い思索に誘うところだと思います。
そして、改めて日本という国に対して想いを馳せ、日本人としてどう生きるべきかを思う人が多いに違いありません。
小さい国土に犇めく1憶1千万(執筆当時)、結果的に8千万程度の日本人が脱出できた。
でも、もともと小松左京はその半分、4千万くらいが生き残ると想定し下記進めていたものの、書いているうちに愛着がわいてしまい、結果的に倍以上の日本人を助けてしまった。
本書の巻末に「第1部 完」とあるように、この物語は流浪の民となった日本人を描くのがもともとの構想でした。ところが、たくさんの日本人を”生き残してしまった”為に、彼らが待ち受ける苦難を考えるとどうしても筆をすすめることができなかったと述懐しています。
第1部完から33年後の2006年、SF作家谷甲州を中心とした若手SF作家とブレストを行い、沈没後が描かれた第2部が完成します。
「日本沈没」は総ページ数約800頁の長編ですが、日本人であれば必読の書と思います。
本を読むの苦手ー(>_<)。って人は、映画を。勿論73年版の方ね。
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