春日太一著・新潮新書
時代劇・日本映画研究家の春日太一さん。WOWOWの映画解説番組「WOWOWぷらすと」で語られた市川崑監督と「犬神家の一族」について書籍化。「WOWOWぷらすと」はyoutubeで公開されています↓
春日が語る金田一【WOWOWぷらすと】
市川崑に出会う【WOWOWぷらすと】
市川崑監督は、50年代後半より多くの作品を監督しており、黒澤明が降板した東京オリンピックのドキュメンタリー映画『東京オリンピック』が大ヒット。ところがここで”記録”か”芸術”かという論争に巻き込まれ、しばらく映画を撮らなくなる。
そして1976年、「犬神家の一族」を撮り第一線に復帰、以降大作監督として様々な種類の映画を撮ることに。
元々市川監督がアニメーター出身(J.O.スタヂオ(のち東宝京都撮影所)のトーキー漫画部)で、昭和11年には脚本・作画・撮影・編集をすべて一人でおこなった6分の短編アニメ映画『新説カチカチ山』を発表しています。
この経験から、自分の作品はしっかりしたコンテを書き、その絵の連続として映画を撮っているということ。深作欣二が手持ちカメラでぶれも気にせずアクションを撮るのに対して、絵的な美しさを追求した監督だったというのは、言われてみれば納得です。
そして「犬神家の一族」は市川監督の集大成的作品。第2章は犬神家の一族の魅力に迫ります。
市川崑監督を意識してみたことはありませんでしたが、この本を読んで改めて見直すといろいろいろな発見がありそうです。
一つ残念なのが音楽については一切触れられていないこと。「犬神家の一族」は、映像もさることながら、音楽の良さが際立っています。
春日さんには、76年版「犬神家の一族」について余すところなく語って欲しいなと思います。
76年版「犬神家の一族」が好きな人にはお勧めです。
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- 作者:春日 太一
- 発売日: 2015/11/13
- メディア: 新書