アルベール・カミュ著・宮崎嶺雄訳・新潮文庫
フランスの植民地アルジェリアのオラン市をペストが襲う。医者のリウーは、いち早く流行病の正体に気づくが、役人はそれを認めない。そうしたうちにペスト菌は街を覆い、ついにオラン市はロックアウト状態に。閉鎖された街で次々と死んでいく人々。リウーはたまたまオランで仕事をしていて封鎖され自宅に戻れなくなったタル―や作家志望の下級役人のグランと共に次々と増えるペスト患者に医療行為を続ける。
突然降って湧いたような災厄、ペスト。しかも誰も拡大を止められず、治療が行えない罹患者は次々と死んでいく不条理。
「ペスト」は不条理文学の最高峰と言われます。読んでいて封鎖されたオラン市の状況ほど混沌とはしていませんが、心情的な閉塞感、4,5月ごろの日増しに増えていくよう陽性者数を見るたびに感じた絶望感に似たものは確かにありました。
つまり世の中はすべて不条理なものだという事。それでも人は生きていかないといけない。
それにしても何とも読みにくい小説でした。カミュの文体がそうなのか、翻訳が悪いのか。
話題の本で本屋さんでも平積みされてますけど、うーーん、これを読むならもっと面白い小説はいっぱいあると思いましたね。
にほんブログ村