鏑木 蓮著。早川文庫ja
アパート管理のバイトをしている青年、門川は、映画監督を夢見ているものの行き詰まっており将来がみえない。そんな日々の中、管理しているアパートの老人帯屋が孤独死する。遺品として残されたのは古いキネマ旬報と1本の8ミリフィルム。フィルムに映っていたのは田舎道でリヤカーを引く女性の姿。映像に惹かれた門川は帯屋の人生を追いかけ始める。
帯屋の事を調べる先々で、門川は恫喝ともとれる態度をされる。彼らは終戦時同じ部隊にいた戦友だった。帯屋の秘密とは。フィルムに映っていた女性は。いくつかの疑問が、読み進めるうちに明らかになっていきます。
初刊時「しらない町」というタイトルでしたが文庫化に中り「エンドロール」に改題したそうですが、最後まで読むとこのタイトルが胸に沁みます。
だいたい”自叙伝”を書くような人生は歩んでいない。自慢できることなんて一つもない。ほとんどの人がそうなんでしょうけど、それでも自分の人生の中では自分はやっぱり主人公の物語を生きています。
自分のエンドロールはどんな風になるだろうと、読み終わって本を閉じた時思いを巡らせました。
決してドラマチックな展開ではないけど、読後感はとてもよいお話しでした。
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- 作者:蓮, 鏑木
- 発売日: 2014/01/10
- メディア: 文庫