五十嵐貴久著・幻冬舎文庫
サイコパスの女、雨宮リカが主人公のリカ・クロニクルシリーズ8作目。
リカシリーズはホラー苦手な私なのに全部読んでします。もともとは03年にテレビドラマを偶然みて、そこからはまりました。その時のリカは浅野ゆう子でした。その後
『リハーサル』、『リカ』『リバース』を原作とした連続ドラマ(リカは高岡早紀)、同じキャストスタッフで『リターン』を2021年に映画化しています。
リカシリーズ、現在刊行されているのは8冊。すべて幻冬舎文庫
第1作『リカ』
第2作『リターン』
第3作『リバース』
第4作『リハーサル』
第5作『リメンバー』
第6作『リフレイン』
第7作『リセット』
そして最新刊『リベンジ』
ただし、クロニクルとしては、
『リバース』リカ中高生
『リセット』リカ一家が離散し、親戚の家に預けられる話
『リフレイン』高校を卒業し看護学校での話
『リハーサル』就職した病院での話
『リカ』出会い系サイトの話
『リターン』リカを追跡する2人の女刑事を描く『リカ』から10年後を舞台にした話
『リベンジ』『リターン』の2年後、恋人を殺され、仲の良かった同僚を精神崩壊させた元刑事と、リカを追いかけるTVクルーの話。
『リメンバー』リカ事件の心理感染とみられる連続殺人の話
となっています。
できれば最初は『リカ』がよいですが、それぞれの物語がすこしずつ関連しているので、時間の流れに沿って読むのもありだし、刊行順に読むのもありです。
第1作『リカ』では確かにおかしな女でしたが、演じていた浅野ゆう子、高岡早紀のイメージもあってきれいな人というイメージでした。だんだん最初に殺された本間でなくとも騙されてしまう感じ。ところがお話が進むにつれて、その容姿も徐々に不気味さが増してくる。
だいたい『リターン』で12発もの弾丸、なおかつ6発は顔面に受けていながら生きて逃走するという離れ業。
今回は、『リターン』から2年後の話。いかに凶悪犯人とはいえリカに12発もの弾丸を打ち込んだ刑事、孝子は懲戒免職となる。現場から逃げたリカは間違いなく孝子を恨んでいて、いつか必ず孝子の前に現れる。その時に向けて万全の準備をし、恋人、同僚の仇をうつと心に決める孝子。
一方で、報道畑からバラエティ班へ望まぬ異動をさせられたプロデューサーの佐藤は、リカ事件を知り、TV番組として企画し、この企画をきっかけに報道への返り咲きを目指す野心家。
2組の流れが、逃走後のリカを追いかける。
徐々にリカ包囲網が迫る。そして最後は…。
今回、リカはほとんど出てきません。それでもリカの物語を読んでいるという充足感。これもリカの心理感染が読者である私にも始まっている事かと思うとちょっと怖い。
次巻は『リベンジ』の直接の続きらしい。怖いけど、楽しみ。