先月から弓道場が再開して1ヶ月。毎週末の土日、1回50射を目標に稽古をしています。
道場のホワイトボードに様々な情報が掲示されていますが、今年は春から一切の講習会、審査、射会、大会が中止になっており、当面何も行事がありません。
審査や試合があればそれを目標に練習できますが、何も目標のないこの期間とてももやもやしながら稽古を続けています。
そもそも弓道は、自己の内面に問いかけるものであって、試合や審査あくまでも日々の稽古の成果。それらを目標にするのではなく、日常と同様の射でないといけないといいます。
一人黙々と的前に立ち、外れれば反省、中っても反省と、50射しても満足な射が出ることはほとんどない。
中って一喜一憂できるのは弐段まで。参段になりその上を目指そうと思った時に、的中だけではないという壁に当たり、これがまた高くて厚い壁だったりします。
弓道は集中力です。
的の狙いが正しくても、射位に正確に立ち、背筋を伸ばして、弓を左右均等に押し開き、弦を離す時も水平に離さないと狙ったところに矢が飛んでいきません。28m先の36cmの的は、思った以上に遠く小さい。
霞的(同心円状の円の書かれた的)の中心の白丸は3.6cm、星的(真ん中に黒丸があるだけのもの、学生弓道がよく使う)の黒丸は、6cm。人間の心臓を射抜く大きさと言われます。
今日は50射やって中りは24射でした。ほとんどがまぐれ当たりみたいなものです。
「広いところで矢を放つのって気持ちいでしょー」と未経験の方は言います。
確かに遠的は気持ちよい。60m先の100cmの的に当たるとさらに「いえい♪」って感じになりますが、近的は離した瞬間に垜(あづち)に届いており、的中よりもちゃんと離すことができなかったことが離した後の形(残身。残心とも)で分かってしまいます。
集中していれば、残心はきれいに”大の字”になっていますが、何らかのミスがあると全く美しくない。
これが、美しくなくても中ってしまう時があるからよろしくない。中った時こそ、自分の射後の姿をチェックしないといけない。それがよければ、また同じようにすればまた中るのですが、同じ射を繰り返すことができない。
名人ともなると、1射目と2射目の動画を重ね合わせても、完全に重なるといいます。
中る射もよいけど、美しい射が目指すところ。どっちが先かという問題であれば、短い期間で結果(中り)を出すことを求められる学生であれば、どうやって的中率を上げるかの方が大切ですが、社会人は年齢に応じた落ち着いて美しい射を求めて、その結果として的中がある、というのが正解ではないかと思います。
あー弓道難しいわー。でも面白いわー。