日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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未来へ。

3/15に「卒業式を中止した立教新座高校3年生諸君へ。」と、3/24に「卒業式を中止した本校中学三年生諸君へ。」と題された一文が、立教新座中学・高校のホームページにアップされました。
今回の地震の影響で、卒業式を中止した同校の渡辺校長から卒業生に宛てたメッセージ。
これが、とても愛情あふれた内容で、感動しました。
中学校編の一部を抜粋します。全文はリンク先(後述)を確認ください。


(中学編 抜粋)
三年間の諸君らの努力が実を結び、卒業の時を迎えたことに、本校教職員を代表して心より祝福を述べたいと思います。
(略)
 諸君らは、これで義務教育を終え、新たな生活に入ることになります。国民の義務として行わなければならない行動としての教育状況からは、大きく変化するわけです。高校に行くことは君らの選択権によって決まったことなのです。保護者の強いサポートがあったにせよ、君らの責任によって高校進学を決定したのだと云う事を忘れないでください。
 責任に裏打ちされた行動が求められるのです。自己責任の重さは今までとは比べようがないものです。中学を卒業したということは、責任ある存在として社会から認知されたということです。
 今、日本はかってなかった、未曽有の天災の悲劇を迎えています。この悲劇を迎える諸君たちの立場も、中学時代の君たちと、今卒業してからの君達とは大きく変わったものです。社会に支えられた被保護者としての自己から、社会を支える一員として認知された存在と変わったのです。社会の一員として今この惨状を直視しなければなりません。
 旅立ち、十五歳の春。君たちは、自らの手で始めてほんの少しその扉を開けたのです。いつもの年であるならば、その扉の向こうに見えたものは、旅立ちを祝する柔らかな日差しでありました。今、社会は昨日までのものとあまりにも違います。
(略)
今度の災害を眼前にして、私はおめでとうという言葉がなかなか出てきません。その言葉があまりに明るく、私の心を暗くするからです。しかし、今この時だからこそ、諸君に私の思いを伝えなければなりません。
 この災害が、諸君の前に提示した課題はあまりに重いものです。自然とは何か。自然との共存とは何か。ありのままの自然を残すとはいかなることなのか。防災と自然はいかなる関係にあるのか。
 原子力発電所の危険が叫ばれた時、私は何をしていたのか。どんな行動をとっていたのでしょうか。他人事のようにぬくぬくと人工の陽だまりで昼寝をしていたのです。今、悔恨・自責が脳裏をかすめます。エネルギー問題への答えも出ません。
 世界の国々から救援隊が続々やってきました。アメリカの空母が、三陸沖に派遣され、人命救護の最前線に立っています。
 (略)
 泥の海から、救い出された赤子を抱き、立ち尽くす母の姿がありました。行方不明の母を呼び、泣き叫ぶ少女の姿がテレビに映りました。泥の海に浸り一命を取り留めた父が、家族のために生きようとしたと語っています。
 君らと同じ年代の、まさに卒業式を迎えようとしていた生徒にも、悲惨は容赦なく過酷でした。
 今この時こそ親子の絆とは何か。命とは何かを直視して問わなければなりません。
 旅立ちを前にした諸君たちの課題はあまりに厳しく、あまりに過酷であるかもしれません。
 私たちが築いてきた価値観も大きく揺らいでいます。歴史は、進歩という名の下で、大きな過ちをおかしているのかもしれません。流れを変えるのは君たちです。未来は君たちの双肩にあります。
 純なるものを求める、十五の春の涼やかな瞳よ。
 若さと正義に満ちた若者よ。
 凛凛と眉をあげ、この難題を心に刻み、立ち向かってほしいと思います。
 今ここで卒業できることの重みと感謝を深く共に考えましょう。そして、被災地にあって、命そのものに対峙して、生きることに懸命の力を振り絞る友人たちのために、声を上げましょう。
 共に共にいまここに私たちがいることを。
 被災された多くの方々に心からの哀悼の意を表するととともに、この悲しみを胸に我々は、新たなる旅立ちを誓っていきたいと思います。
 (後略)


中学編全文→http://niiza.rikkyo.ac.jp/news/2011/03/8589/
高等学校編全文→http://niiza.rikkyo.ac.jp/news/2011/03/8549/


教育者として、また、大人として、このような言葉が贈れるというのは素晴らしいと思います。人の品性というのは、こういう時にこそ表れるものだと思います。
震災から2週間が経過し、何十万という人が被災し、たくさんの人が亡くなりました。
その一方で、震災のさなか、震災後に新たな命が誕生していたりします。
世界が終ったわけじゃない。
被災地の皆さんが1日も早く、穏やかな生活に戻れるように、今自分ができることを改めて考えていきましょう。