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「ロズウェルなんか知らない」 を読む。


 篠田節子著・講談社文庫


 ロズウェル事件、知ってます。80年代に矢追純一によるUFO特番の洗礼をもろに浴びた私にとっては、一般常識の範疇ですw

 1947年、アメリカニューメキシコ州の片田舎、ロズウェルにUFOが墜落し異星人も回収したとアメリカ空軍が発表。その後、UFO回収は誤報で、観測気球だったという話。
 今は誤報説で決着がついていますが、真偽はともかく、位置百ロズウェルは、UFO信者の整地となり世界中から観光客が押し寄せるメッカとなりました。



 この小説は、バブル期にスキー場があったもののその後撤退。同様に運営していた遊園地も廃園。特に目立った観光資源もない、温泉も出ない、芽衣さん、名物があるわけでもない、そんな、ないない尽しの田舎町の青年団が、優勝賞品土地付き一戸建て(とは名ばかりの廃屋)につられてやってきた男とともに、"UFO"と"不思議"を村の売りにすべく立ち上がる話。
 古い因習や根拠のないプライドに縛られた土地の老人たちを尻目に、最初は銀色の風船を飛ばす位だったのに、ストーンサークル作ったり、民宿には座敷わらしが出たり、季節外れのひな人形を飾ったり、演出はどんどんエスカレートしていく。ついには神社の御神体の鏡まで持ち出す始末。客が客を呼び、四次元ゾーンとして注目を浴び始め、町は往時の活気を取り戻すが…、って話。


 650ページのちょっと厚めの文庫本ですが、あっという間に読めるのは篠田節子ストーリーテリングのうまさ。そして単にエンターテイメントではない、限界集落の問題についても鋭く描いています。
 おなじ限界集落を、アニメ、オタクで町おこしをしちゃう漫画「限界集落(ギリギリ)温泉」も同様のテーマで面白く読みましたが、東京近郊にいると判らない過疎化の現状というのは、間違いなく進んでいるでしょうね。先日旅行した、さほど東京から遠くない伊豆でさえ平日は殆ど人がいない。うちの実家のあたりも新宿から鈍行で1時間程度なのに、さながらゴーストタウンのように子どもたちがいない。一方で新宿・渋谷・池袋、東京の主要駅にはいつでも人が歩いている。。。


 東京に出たくても出られない事情がある人は限界集落で生を全うしないといけない。でもね、東京がすべてではないと最近特に思うんですよね。インターネットの普及は、東京にいるメリットを地方にいて享受できるインフラの一つ。これは、昔の政治家が鉄道や高速道路を作ったのよりすごい革命だと思う。
 なによりも、智恵子じゃないけど東京には空がない。
 降るような星空を一度でも体験していると、東京ってやっぱ住むとこじゃないと思う。とはいえ、虫とか蛇とか嫌いだから田舎暮らし出来ないかも…。


 結構ボリュームありますが、大丈夫。すぐ読めます。

ロズウェルなんか知らない (講談社文庫)

ロズウェルなんか知らない (講談社文庫)

ついでに「限界集落(ぎりぎり)温泉」(全4巻)も↓

限界集落温泉 1巻 (BEAM COMIX)

限界集落温泉 1巻 (BEAM COMIX)