日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

思ったこと、思っていること。読んだ本、観た映画、TV。聴いた音楽…。会社でのこと、家族のこと、自分のこと。日々のうつろいを定着させています。はてなダイアリー開始は2003年、2006年4月から毎日更新継続中。2017年6月8日「はてなblog」アカウント取得、2019年1月「はてなダイアリー」から正式移行しました。アクセスカウンター2019年01月26日まではpv(2310365)です。

汚れちまった悲しみに。


汚れつちまつた悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れつちまつた悲しみに
今日も風さへ吹きすぎる


汚れつちまつた悲しみは
たとへば狐の皮裘
汚れつちまつた悲しみは
小雪のかかつてちぢこまる


汚れつちまつた悲しみは
なにのぞむなくねがふなく
汚れつちまつた悲しみは
倦怠のうちに死を夢む


汚れつちまつた悲しみに
いたいたしくも怖気づき
汚れつちまつた悲しみに
なすところなく日は暮れる・・・・・


明治34年に発行された詩集「山羊の歌」にある詩です。中原中也を読むようになったのは、いつ頃だろう。20歳くらいかなぁ。最初は宮沢賢治が好きで、ずいぶん読んでいたけれど、他の詩人の詩も読みたくなって、手に取ったのが角川文庫・河上徹太郎篇の「中原中也詩集」だった。
中原中也詩集 (角川文庫)
30歳という若さで亡くなった中也の詩は、常に苦悩と哀しみの中にあって、でもそんな中に激しい想いが溢れています。夭折の作家ということでは、立原道造も好きですが、甘ったるい少女趣味で、今読むと気恥ずかしい感じ。

中原中也のこの詩もなかなか今の心情的に合ってるかなぁ。

「夏」

血を吐くやうな 倦ものうさ、たゆけさ
今日の日も畑に陽は照り、麦に陽は照り
睡るがやうな悲しさに、み空をとほく
血を吐くやうな倦うさ、たゆけさ


空は燃え、畑はつづき
雲浮び、眩しく光り
今日の日も陽は炎もゆる、地は睡る
血を吐くやうなせつなさに。


嵐のやうな心の歴史は
終焉をはつてしまつたもののやうに
そこから繰たぐれる一つの緒いとぐちもないもののやうに
燃ゆる日の彼方かなたに睡る。


私は残る、亡骸なきがらとして――
血を吐くやうなせつなさかなしさ。


今は、「青空文庫」でも読めるので、スマホの方は是非。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000026/files/894_28272.html