ずっと読みたいと思っていましたが、たくさんの積ん読本の前に後送りされてました(^-^;)。現在映画公開中なのと、評判がすごく良いので順番繰り上がりでやっと読みました。評判に違わぬ面白いお話でした。
かわいがってくれた祖父は実の祖父ではなく、祖母には前夫があった。特攻でなくなったという祖父の人生を調べることになった孫は、祖父、宮部久蔵を知る戦友たちを訪ね歩く。「生きて妻と娘の元に帰る」事を旨として兵役に就いていた久蔵は、時として臆病者のレッテルを貼られる。しかしそれに反して彼の飛行士としての腕前は一級品。戦況が悪化してもその姿勢を崩さなかった彼が、終戦の数日前に愛する妻との約束を破っても特攻していったのは何故か。それが最後明らかになるところで感涙必至です。
孫が祖父の生きてきた道を調べていくロードノベルとでもいえば良いのか。単に祖父の人生を追いかけ賛美するだけでなく、祖父の人生が調べていた現在の主人公にも影響を与える。
生きる事、生き残る事は大切かもしれないけど、死ぬ事で影響を与える事もできる。特攻で散った若者の多くは、犬死かもしれないけど、その死を土台に生きている現在の私たちがしっかりと意味のあるものにして行かないといけない。そう思いました。
主人公の宮部久蔵、この名前で黒澤映画の「七人の侍」を想い浮かべた人は多いはず。寡黙ですご腕の剣豪、久蔵を演じていたのは宮口精二。全く意識していないとは思えません。
「七人の侍」が観たくなりました。カミさんからは「聞けわだつみのこえ」を読むように勧められました。関連するものを読みたくなる本はそれだけで素晴らしい。
お勧めです。