室積 光著・小学館文庫
昨年発売された室積 光さんの最新刊。 室積さんの出身地、山口県光市をモデルにした架空の街、日照市を舞台に描かれています。日照市は財政難にあえぐ地方都市。市長が窮余の策として、埋蔵金を発掘して市の歳入に文字通り一発当てようと画策する。最初の発掘では、古銭の入ったツボを発見、中の古銭を取り出すためにツボをバット一発で破壊。ちょうど来ていたTV番組の出張鑑定団に鑑定してもらうと、古銭の価値よりも割れたツボの方が価値があったという残念な結果に。
次の発掘では、財宝ならぬ古い人骨を発見してしまい、遂に埋蔵金発掘課は無期限の活動停止に。
ここまでは、想定内だったため、あまり乗れなかったのですが、ここから新たな発掘先として、街はずれにある海軍工廠跡を選ぶと、そこの成立にまつわるお話に。これがかなり面白くてあとは一気に読み進められました。
この海軍工廠跡は、山口県光市海軍工廠として実際にありますがお話しは完全にフィクション。光市海軍工廠の様子は「安芸の国から」というblogに書かれています→http://www.akinokuni.jp/g/201512hikari.html
近くの海軍光基地からは、戦争末期に開発された有名な潜水特攻兵器「人間魚雷・回天」は出発したところ。
ユーモアだけでなく、哀しい歴史をも描いていて、やっぱただ面白いだけじゃない、やっぱり室積光作品でした。
- 作者: 室積光
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2016/06/07
- メディア: 文庫
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