今野敏著・新潮文庫
積読本消化。今野敏の警察小説以外を読むのは初めて。
時は70年代後半から80年代前半。小さい頃から空手をやっていた主人公長岡誠は、大学を卒業したあと単身香港に渡りアクション俳優を目指す。「武打星」とは香港映画のアクションスターのこと。ブルース・リー、ジャッキー・チェン、ユン・ピョウ、サモ・ハン・キンポー。さほど香港映画を観ない私もこれくらいは知ってます。特に小学生の頃「燃えよドラゴン」の大ヒット、ブルース・リーのカンフーブームはすごかった。私もヌンチャクを友達と作ったりしました。
ちょうど、ブルース・リーとジャッキー・チェンの間の時期が舞台。広東語もしゃべれず、何のつてもない青年がどうやって武打星になっていくか。ここはフィクションならではの幸運に恵まれていくわけですが、香港映画と黒社会は切っても切れない縁でつながっており、主人公も大丈夫か…と疑念を抱きつつ、スカウトされ映画に出演することに。
今野敏は、空手や合気道の経験者。数年前に亡くなったカラオケ友達と同門で一緒に練習してたって言ってました。警察小説が有名ですがご本人のhp(「ざ・今野 敏 わあるど」http://www.age.ne.jp/x/b-konno/index.htm)によると、格闘小説も結構書いてらっしゃるようです。空手道今野塾を主宰してるらしい。
この小説を読んで想起したのはアクション監督として活躍されている谷垣健治さん。まるで谷垣さんをモデルにしているようなお話しです。谷垣さんは、主人公同様に、大学卒業後単身香港に渡り、主人公ほど簡単ではありませんが、エキストラからスタントマン、そしてアクション監督になられた方。
谷垣さんとは数年前に小中監督と一緒にグリソムギャングイベント後の懇親会で初めてお逢いしてお話しをさせていただきました(その時のblog→http://hee.hatenablog.com/entry/20110429)。「るろうに剣心」のアクション監督をされた直後で、ご自身の経歴とともにるろ剣の裏話ほか関わったドラマ、CMでの裏話を自ら編集した映像を見せて頂きながら沢山お話しをおうかがいできて感動したのを覚えています。ご苦労されているのに偉そうなところは微塵もなく気さくで、いっぺんでファンになりました。
私、人生保守的なんで全然冒険してません。座右の銘は「長いものには巻かれる前に逃げろ」。
なのでアグレッシブに自分の人生を切り開いていく人はやはり尊敬の念を禁じ得ません。
- 作者: 今野敏
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/01/02
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