五十嵐 貴久著・ 幻冬舎文庫
「リカ」シリーズ最新刊。
第1作「リカ」の20年後。第2作「リターン」でリカは12発の銃弾を頭に受けて死んだ、はず。しかし、安置室から遺体は消え、検死を担当した医師は報告書とともに失踪、行方不明になっているという。
或る日、リカ事件に類似したバラバラ殺人事件が起きる。犯人は死体遺棄の現行犯で巡邏中の警官に逮捕される。勿論リカではない。リカ事件を追いかけていた女性ライターが、同じ編集部の男性を殺害したのだ。
リカの意識が、リカを調べた者、リカの心理に触れたものに”感染”していく。これは怖い。
嫉妬、承認欲求、独占欲、破壊欲…。リカの心理は、誰の心にもある。本当か?
300頁強の、たいして厚くない本なのに、読み進めるのが怖かった。
1作目「リカ」を読んだのが2005年なので、ほぼ小説の中と同じ時間経過。まさかこんな風にお話が展開するとは。
「リング」の貞子や「呪怨」の伽耶子は幽霊だから、怖いといえば怖いのですが、信じなければたかが幽霊話。でも「リカ」は、生きている人間の話で、2作目の「リターン」で死んだと思っていたし、今作でもリカ本人が出てきたわけでもないけど、心理感染して、となると隣の人がいつリカになってもおかしくないという普遍的な恐怖物語になってしまった。
リカの物語(リカ・クロニクル)はこれからも紡がれるという。
これまでは3人称で語られているからまだよいけど、リカ視点ですべて語られる物語が出てきたら、リカ・パンデミックが起きるかもしれない。
怖い。けど目が離せません。
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