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「昭和40年男増刊 我が心の梶原一騎」

我が心の梶原一騎 2021年10月号 [雑誌]: 昭和40年男増刊 総集編

 自分の体の何分の1かは梶原一騎でできている、と言っても過言ではありません。

 「タイガーマスク」「空手バカ一代」「巨人の星」に「侍ジャイアンツ」。そして「あしたのジョー」に「愛と誠」。どちらかというと、TVアニメから入り、後追いで原作漫画を読んだ年代です。

 長年題材としていて格闘技系の団体との付き合い、こわもての風貌から、黒い噂が絶えなく、ついにいくつかの傷害、暴行事件等で有罪判決を受ける。その後漫画原作から引退を発表、引退記念作として自伝漫画「男の星座」連載中に体調悪化により亡くなりました。1987年、なんとまだ五十歳という若さでした。

 梶原一騎原作の漫画では、今はあまり認められていない「男は男らしく、女は女らしく」という”昭和の図式”で語られることが多いですが、私の見方は少し違っていました。表面上はその通りなのですが、男は虚勢を張り、表面上は強くありますが、実は女々しい部分を多く持っています。逆に女性は陰に隠れていながら真の強さを持っている。
 
 「男は優しくなければ生きられない、強くなければ生きる資格はない」レイモンド・チャンドラーによる探偵小説の主人公、フィリップ・マーロウの台詞です。
 ここでいう強さとは、肉体的な強さではなく”精神力”だと思っています。そして今風に言えば、これは性別としての”男”(man)ではなく、”人間”という意味ではないかと思っています。

 梶原一騎の男たちはみんな真面目で優しかった。タイガーマスク伊達直人は、悪の組織を裏切りながら孤児院に援助し続け、愛と誠の大賀誠は、傷つきながら早乙女愛を守り続けた。星飛雄馬矢吹丈も番場蛮も不器用で、女性を相手にうまく気持ちを表現できず、自分の信念に殉じていった。

 私生活ではいろいろあったようですが、実は梶原一騎はもともと文学青年で小説家になりたかった。ただ時代的に漫画隆盛期で、出版社が漫画原作者を求めていた。生活の為に仕方なく漫画原作を続けていたものの、漫画原作者という立ち位置は小説家よりも一段下であると思っていた。だから、後年漫画原作を止めて、小説家としてやっていこうとしていました。

 もし小説家になっていたら、ここまでの名声を得ることもなかったと思います。
 作品によっては、今読むとさすがに古い感じはありますが、梶原一騎の熱さは、時代を超えたものだと思います。
 事件後ほとんどの梶原作品は絶版になっています。
 読み直したい作品があるので、ぜひ再刊してほしいと思います。