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「あしたのために あしたのジョー!展」

 世田谷文学館で開催中の「あしたのために あしたのジョー!展」に行きました。会期は3月末。滑り込みセーフ。

 「あしたのジョー」は1968-1973に週刊少年マガジンに連載。アニメは71-72年なので、リアルタイムではほとんど観ておらず、中学生になった頃アニメ再放送から入り、「あしたのジョー2」(80-81年)はリアルタイムで観ていました。
 漫画連載の頃は、「あしたのジョー」よりも「天才バカボン」の方が好きだったし、アニメは「巨人の星」の方が好きでした。「あしたのジョー」は全体的に暗く、小さい頃の自分にとっては、お兄さんたちが熱狂している漫画、という程度の位置付けでした。
 最初のアニメ版で映像化されたのはカーロス・リベラ戦まで。しかもそのカーロス戦もアニメと原作は異なる結果というところにがぜん興味が沸き、その頃既に完結していた漫画全20巻を読了、しばらくしてカーロス戦から再アニメ化、ほぼ同時に、旧アニメの再編集映画とその続編、TVシリーズよりも前にジョーの最後を描くアニメ映画化がありました。
 今でもすぐに手に取れるよう、講談社KCコミックス版を本棚に納めているマイオールタイムベストテン圏内を常にキープしている作品です。

 さて今回の展示会。
 週刊少年マガジンの表紙や当時行われた力石徹の葬儀の新聞記事の展示などと合わせ、基本は漫画原稿の展示なのですが、ガラスケースに入ったちばてつやや原作者高森朝雄梶原一騎)の生原稿。これが素晴らしかった。
 ちばてつやの絵は一切の迷いなく、本当にきれいな原稿。これは芸術品です。
 既に第一線で物語をつくれるちばてつやに自分の原作をつけることを梶原一騎は難色を示したらしい。しかし、ちょうどちば自身も本格的なボクシング漫画を描きたいという想いがあり、編集者が口説き両名の合作が実現する。その後が実は大変で、梶原の原作を使わない事がしばしば起き、梶原は激怒する。
 しかしながら、ちばは梶原の原作を読み、「何故このキャラクターはこういう発言をするのか」を梶原にしつこく聞き、その行間を漫画で描いていた。それを知った梶原はその後漫画に一切文句を言うことなかったといいます。
 実際に梶原一騎の原稿とその漫画化の回を比べた展示があり、まー見事に梶原原作を使っていない(笑)。台詞すら改変しているんだから、梶原が怒るのも当然です。しかし梶原はちばてつやを認めた。あの角刈り、サングラスでガタイがよい梶原一騎に睨まれたら普通ならビビってしまうところ。ちばてつやはそれを真正面から受け止めて、作品に昇華していきました。
 一番の失敗は、力石徹を丈よりもかなり大柄に描いてしまったこと。永遠のライバルとなる予定の力石との階級差はいかんともしがたい。そこで力石の2階級の減量とその死の物語が作られるというのは皮肉な話です。

 「あしたのジョー」が名作と言われる所以は、70年安保の敗北と挫折という時代にマッチしたものではあるのですが、この2人の作品に賭ける情熱のすべてが表現されたものという側面が非常に大きいと思います。

 そして最終回の真っ白になり微笑を浮かべる丈の絵は、何度も々々見ていますけどやはり圧巻でした。

 小さな展示会ですが充実した展示会でした。
 今月末までの開催。少しでもあしたのジョーに触れたことのある人には是非見て欲しい展示会です。

 
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