辻村深月著・ポプラ社文庫。
上下巻で800頁弱と長編ですが、とても読みやすかった。ポプラ社って絵本やジュニア小説だけの出版社かと思ったら、こういうミステリも出しているんですね。初めて知りました。
2022年に原恵一監督でアニメ映画化もされています。原監督は、
「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」(2001年)
「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦 」(2002年)
「河童のクゥと夏休み 」(2007年)
「カラフル 」(2010年)
が特に好きで、先日金曜ロードショーでやっていたのを偶然みて、原作を読みたいと思ったところカミさんが持っていました。
不登校の7人が、かがみを通って不思議なお城に招かれる。そこには狼の面をかぶった少女(おおかみさま)がいて、彼女が7人を呼んだという。
この城の中に願いをかなえる部屋があってそのカギが城のどこかに隠されている。それを探し出した人の願いを一つだけ叶えてくれるという。
しかし条件があって、カギを探すのは3月30日まで。日本時間の午前9時から午後5時までは鏡を通って現実世界から来て良いが、午後5時以降に孤城に1人でも残っていると、その日に城内にいた者は連帯責任で狼に食べられてしまう。また、誰かが願いを叶えてこの城から出た時点で城での記憶は消えてしまうという。
集められた7人(男の子4人、女の子3人)はそれぞれ事情を抱えており、それはおいおいにわかってきます。カギは見つかるのか、不登校のみんなの問題は解決するのか。
読み進めているといたる所に違和感や説明不足、もう少し突っ込んだ会話をすればいいんじゃない?って思うことがあります。でもまぁ中学生だし、そもそも不登校の”コミュ障”ですから、何でも話し合うっていうことがそもそもできないことを考えるとこういう展開もわからなくはありません。
そして最終章に向けて怒涛の伏線回収が小気味いい。なるほどーて感じです。
変にこねくり回された叙述トリックではないので、中学生くらいの子たちが読んでも分かり易いと思います。
もうこれは還暦間近の私なんかが読むよりも、リアル世代のちょっと生き辛さを感じている少年少女が読むとよいかな。
勿論、今まさに”生き辛さ”真っただ中の私にはとても良いお話でした。
見た目はそれなりに歳を取ってしまいましたが、私は”慢性中二病”なのかもです。