日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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「海のはじまり」

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CX月9ドラ「海のはじまり」が一昨日最終回を迎えました。
「silent」「一番好きな花」に続く生方美久脚本で期待をしていました。

 思い通りに進まないのはドラマの常ですが、もっと幸せな結末はあっただろうにと思ってしまいました。
 一番の理由は水季が勝手すぎて、しかも亡くなってしまっているから水季の思い通りにさせたいという周りの人の圧力?で、選択肢はいくつかあるのに夏くんや夏くんの周りの人が縛られてしまっている点です。


 学生時代に付き合っていた水季(古川琴音)との間に子供ができて、夏くん(目黒蓮)は、水季に言われるまま堕胎手術同意書にサインをする。

しかし、実は水季は女の子を出産しており、”海(うみ)”と名付けて2人で生活をしていた。
7年後、水季が亡くなった後、その事実を水季の母(大竹しのぶ)に告げられた夏くんは、海ちゃんと一緒に暮らす事を考える。

しかし、夏くんには弥生(有村架純)という結婚を約束した恋人がいた。

夏くんは出産の事は全く知らなくて、突然パパでしたって言われて、
責任感が人一倍強い夏くんは、海ちゃんを引き取って暮らすことが一番と考えるけど、本当にそうだろうか。

 確かに、原因は水季を懐妊させた夏くんではあるけれど、なぜ水季はなくなる前に夏が親であることを明かす様々な証拠を残す必要はあったのか。海ちゃんに対してパパの名前は夏っていうんだよ、と伝えていたのか。シングルマザーとして海ちゃんを育てていた水季の応援をしていた父母(大竹しのぶ利重剛)や職場の友人の津野くん(池松壮亮)は、 「すべて夏が悪い」「今頃現れて…」的な態度をとる。夏くんにとっては理不尽極まりない。でも、夏くんは反論しない。


 残された海ちゃんの事を考えて、実の父親をはっきりせておいた方がいいという水季の気持ちはわかるけど、両親(大竹しのぶ利重剛)がまだ元気で、海ちゃんも祖父母を慕っている中で、海ちゃんのメンタルを考えれば、できるだけ生活環境は変えない方がよい。


生方脚本では、主人公(たち)の幸せの為に、何もなければ幸せだった人を不幸に突き落とすシチュエーションがある。今回の「海のはじまり」は「silent」の焼き直しにも思える。

「silent」では、それまで順調に付き合っていた湊くん(鈴鹿央士)と紬(川口春奈)の前に、学生時代に紬と付き合っていたが、突然去っていった想くん(目黒蓮)が現れる。
想くんは進行性難聴を発症し、だんだん意思の疎通ができなくなるのが怖くなり、自ら紬ちゃんの元から離れていった。

過去との再会がなければ、夏くんは弥生ちゃんと幸せな家庭を気づいていただろうし、湊くんも紬ちゃんと結婚をしていた。

「silent」では、想くん(目黒蓮)に思いを寄せる奈々(夏帆)と一緒になればそれはそれで幸せだし、海ちゃんは、祖父母の元で生活して、夏くんは通うだけでも十分幸せじゃなかったかと思う。そして、夏くんは弥生ちゃんと結婚をして、祖父母が海ちゃんの育児が出来なくなった時初めて夏くんと海ちゃんが同居をすればよい。

わざわざ過去に引きずられて今の幸せを壊す選択を主人公にさせることで、悲しむ人が出る事はできれば避けてほしいし、湊くんや弥生ちゃんがいい人なだけこころが痛む。

セカイ系というほどではないけど、かつての恋人同士が再会し現状の周りを無視して愛を成就させる。
勿論本人たちも悩むけれど、今の彼氏、彼女にとってはとても辛い決断です。
湊くんも弥生ちゃんもいい人だから、それぞれの相手の選択について何も言わないけど、本当にそれでいいの?と今回も思ってしまった。

その点「いちばん好きな花」は、恋愛要素は登場人物たちの胸の中に秘めて、4人の関係性の保全をそれぞれが第一に考えることで、物語を成立させていた点は心地よかった。当然物語で切り取られた時間以降に恋愛物語に発展することも十分考えられるが。

弥生ちゃんさえよければ、夏くんと結ばれて欲しかったし、
湊くんと紬は、想に惑わされず結ばれて欲しかった。


今回の落としどころとしては、
海ちゃんは祖父母が引き取り育てる。
夏くんは認知し、養育費を負担する。
海ちゃんは弥生ちゃんを認めているので、夏くんと弥生ちゃんは予定通り結婚する。
祖父母が海ちゃんを育てられない状況になったら、
夏くん、弥生ちゃんと同居するか、海ちゃんを引き取る。
申し訳ないけど、単なる横恋慕の津野君は新しい恋を自分で見つけてもらう。

これがベストだと思うんですけど。

生方美久脚本は、琴線に触れるんだけど、どうしても結末が苦しい。
次作こそ、誰もが納得できて、登場人物全員がハッピーになれて観ている側もよかったーって思える作品にして欲しいです。