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「銭ゲバ」ジョージ秋山 を読む。

 一昨年松山ケンイチ主演でTVドラマ化されました。そのおかげ?で、幻冬舎文庫で復刊されたものを昨日BOOKOFFでやっと入手。
 ジョージ秋山の代表作といえば「浮浪雲」(はぐれぐも)が有名ですが、この70年代に描かれた「銭ゲバ」と「アシュラ」(これも幻冬舎文庫で再刊されています)が白眉。
 今から40年も前の作品なのに、全然古さは感じません。絵は正直言って上手くはないです。コマ割も時代を感じさせます。"古さ"を感じないのは、人間の本性を描きだそうとしている作者の苦悩ではないかと。
 貧しく、醜く生まれた主人公、蒲郡風太郎(がまごおりふうたろう)が、悪の限りを尽くして、金を手に入れる。殺人も厭わない。世の中金がすべてと言い切る彼だが、心のどこかでそうじゃないものを求めている。でも結局世の中は金であるかのように、周りの人間が面白いように蒲郡に集まった金で動く。
 この漫画、連載当時、有害図書になったそうですが、作品の本質を見抜いていない莫迦が、選定委員にいたとしか思えません。ここ訴えたいのは、なんでも金で動いてしまう世の中の醜さで、金で動くことを正当化している話ではありません。
 貧しくて醜い彼にすり寄るように、権力者、美人な女性、ヤクザ、貧乏人がやってきます。風太郎は、多額の寄付をしたかと思えば、公害企業を平然と経営していたりする。彼(人間)の本質はいったいどこにあるのか、読んでいて混乱してきます。で、衝撃のラスト。主人公の叫びで物語の幕は閉じます。
 
 漫画って、絵がきれいなことも重要な要素だと思うのですが、絵の巧拙ではなくて何十年も心の残るものが本当の意味で名作だと思います。
 そういう意味で「銭ゲバ」。
 手に取ったことのない人は、是非一読お勧めします。最近のかっこいい男の子や、可愛い女の子が出てこないと駄目な絵至上主義の人は生理的に駄目でしょうね。
 でもこの作品のインパクトはすごいです。必ず夢に出てきそうです。

銭ゲバ 上 (幻冬舎文庫 し 20-4)

銭ゲバ 上 (幻冬舎文庫 し 20-4)

銭ゲバ 下 (幻冬舎文庫 し 20-5)

銭ゲバ 下 (幻冬舎文庫 し 20-5)


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