日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

思ったこと、思っていること。読んだ本、観た映画、TV。聴いた音楽…。会社でのこと、家族のこと、自分のこと。日々のうつろいを定着させています。はてなダイアリー開始は2003年、2006年4月から毎日更新継続中。2017年6月8日「はてなblog」アカウント取得、2019年1月「はてなダイアリー」から正式移行しました。アクセスカウンター2019年01月26日まではpv(2310365)です。

刻の止まった世界

 昨日の午後、栃木の自分の実家に年始挨拶に行き一泊、今日帰ってきました。父83歳、母74歳、ともに健在です。
 父は10年くらい前に脳梗塞になり片麻痺が多少残っており、生活に支障ない程度には回復していますが、発音が多少聞き取りにくい。母は最近耳が遠いらしく、補聴器を買ったものの違和感があり使っていない。だからお袋の声は常に大きく激しい。親父の声は小さい。親父の声はお袋には聞き取りにくいらしく、「え?何いってるの?そんな小さな声じゃ聞こえないわよ!もう一回言って!」と自分の事は棚に上げて何回も言い直しを求める。親父はそれに応え何度も言い直しをさせられる。ま、計らずもそれはリハビリにもなっているわけだったりする…。お袋には自分が悪いとか考える思考回路はない。反省の文字は彼女の辞書にはない。すべて自分が正しいから。
 それにしてもお袋の口煩いのは異常だ。家のカミさんに言わせると「今度会ったらあれも言ってやろう、これも言ってやろうと手ぐすね引いて待っているに違いない」と。まさにそんな感じ。だから正直実家に行くのは憂鬱だ。しかも自分のやっている事はすべて正しく、その規範にのっとらない事にはいちいち文句をいい、人の話は全く聞かない。いわく「そういう莫迦な事をしているのは世界中探してもお前だけだ。」ちょっと反論すると「常識が分かっていない」「そんな事聞いた事がない」…。お袋の世界は、生まれてから今まで、広くても半径10km以内で完結している。それにしても自分の世界を押し付けるのはちょっと辟易する。
 またお腹がいっぱいでもう食べられないからいらないというと「こんなに美味しくできたのに食べないなんてお前は莫迦だ」とか「せっかく作ったのに…」とか恩着せがましい事甚だしい。親元から離れて四半世紀経ちますが、もし結婚せずに実家で暮らしていたら発狂していたかもしれません。。。
 感謝はしていますよ。衣食住の面倒をみてもらって、大学まで出してもらったわけですから。それにしてもねぇ。困ったもんです。
 で、実家は、さすがに昨年アナログ停波になって地デジ化はしていますが、録画機はありません。VHSビデオレコーダーは有りますが壊れたらしい。そりゃ20年も使っていれば壊れるわ。で、DVDとかHDDレコーダの話をしてもちんぷんかんぷん。パソコンなんて理解の外。年賀状を見ながら「最近はパソコンで表裏作ってくる人がいて最低だ。自分は一枚一枚丁寧に描いているのにそういう人の対して失礼だと思わないのか」ともう本当に煩い。
 実家にはCDプレイヤーもない。音楽は専らラジオとカセットテープらしい。しかし最近はカセットテープもなかなか売ってないらしい。確か家電量販店にいっても見かけなくなったね。
 ここ20年位で普及したものが一切実家にはない。FAXだけはあるな。いまだに応接間にオーディオセット(既にターンテーブルのまわらなくなったレコードプレイヤー含む)があったり、8トラのカラオケマシーンが鎮座しているのは、笑うのを通りこして神々しくさえある。自分の部屋は物置状態だけど、ガラス戸付の本棚には、昔見た映画のパンフや新井素子の文庫本、ハードカバーの「幻魔大戦」をはじめとする平井和正全著作があってちょっと涙ものだ。骨董屋というより、値の付かないガラクタばかり置いているセコハン屋さんって感じ。
 
 自分の世界から一歩も出なくても、それが世界のすべてであれば幸せかもしれない。
 世界がどんなに激動しても実家は相変わらずそこにある。そういう世界を守る為に親父とお袋がいるというのも悪くはないかな、と思ったりもします。まずは、健康でいてくれていること。これが一番ですけどね。