急遽午後休みをとって、日曜出勤で行けなかった眼鏡のレンズ交換に。
本当はせっかく新宿にいったので、WALD9で「風立ちぬ」でも観るかとネット予約しようとしたら全時間満席。で、帰りがけに地元のシネコンに寄ってみたら、運よく数席あいていて急遽観る事にしました。
どんでん返しがある映画ではないので、ネタバレしても問題にならないとは思いますが、公開が先週の土曜日だから中身にはあまり触れずに感想を書きたいと思います。
パンフレットで鈴木プロデューサーが「宮崎駿は矛盾の人である」と書かれています。戦争が嫌いなのに、戦闘機が好き、人間への絶望と信頼。まさにそれが表現されています。劇中でも言っていますが、結婚をすれば色々な制約が起きるのに、結婚をする。時代的に高性能であればあるほど、優秀な武器になる。好きでいればいるほど死期を早める。自分が大変であればある程人を助けたくなったり、喜ばせたくなる…。
宮崎監督に限らず人間なんてみんなたくさんの矛盾を抱えながら生きている。矛盾に押しつぶされて死を選ぶことなんてないのです。そういうものを抱えながらも生きるべきである。という宮崎監督自らの生きざまをそのまま提示している作品だと思います。
宮崎監督の思想的なものが、最近ネット上で批判されていますが、人を片面だけで見るのは間違いだと思います。生きている全ての人は悩みながら、揺れながら日々を生きている。終始一貫した人間なんていやしません。不完全だからこそ面白い。
不安だった庵野監督の声は、宮崎駿監督は絶賛らしいけど、どうなんだろう。いいと言われればいいのかもしれませんが、私はやはり違和感を感じました。彼以外の声は有名な俳優さん、女優さんでしたが余り違和感を感じませんでした。素人っぽさと宮崎監督はいいますが、本当の素人がやりゃいいのかというと決してそんなことはないと私は思います。
黒澤明監督が更迭された映画「トラトラトラ」で、主人公の海軍大将山本五十六ほかを実際に海軍にいた素人をキャスティングしていましたが、あれと同じにおいを感じました。
ジブリ初の大人向けの甘いラブストーリー。観る人を選ぶかもしれないし、今までのジブリを期待すると肩透かしを食いますが、見て損はない作品です。