日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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「99のなみだ・月 涙がこころを癒す短編小説集」を読む。

99のなみだ・月―涙がこころを癒す短篇小説集 (リンダブックス)
 もともとはニンテンドーDSで出ていた読書ソフトで、ゲームを始めると今の心境を選択式で入力すると、その心情にあった物語をピックアップして読ませてくれるものでした。自分の名前を登録することで主人公の名前を自分の名前に変換して表示したりする機能もあり、ちょっとゲームとしては異質なソフトでした。
99のなみだ

 小説版はゲームが発売された2008年から毎年3冊くらいずつ刊行されていて、文庫ですでに19巻出ていて、気がついたら買うようにしています。一般の方からの投稿を小説化していますから"セミノンフィクション"という感じでしょうか。

 今回のお話は、全部で12編。

学生時代、歌を通して知り合った夫婦。2人目の妊娠と一緒に見つかった腫瘍。夫婦の強い絆の物語「一生のお願い」
夢だった先生になったけど病んで休職してしまった先生と先生のことが大好きな小学生のお話「大人になれば」
なかなかうまくいかない不妊治療に情緒不安定なっている女性が面倒と思っていた祖母との交流で救われる話「ため息」
死んだ父の為に漫才を志した若者と父との話「茶柱
マイホームを手に入れ引っ越したら一人息子がいじめにあってしまい不登校になる。息子と向かい合う父の話「森と暮らす街」
お父さんと一緒に銭湯に行くのが楽しみな女の子が学校の友達に冷やかされてしまい・・・「しゃぼん」
消防士のお父さんといじめを見て見ぬふりをしてしまう自分の弱さと戦う少年の話「正義の味方」
お父さんの入院先で知り合ったちょっと不思議なおじいさんとの話「となりの発明家」
子供たちの為に仕事を始めたママをどうしても許せない女の子の気持ちをペットのインコの視点で描く「ピーちゃんだけが知っている」
交通事故にあった母に託された大学ノートには自分が生まれる前の大切な人との交流が書かれていて…「針と糸」
両親が別れ、父親に引き取られた主人公。後妻の事をどうしてもママと呼べない中、妹か弟ができると聞かされ家出をしその電車の中で知り合ったおじいさんとの交流の話「終点の始まり」
保健所でペットの殺処分を担当する男の話「虹の下で」


 20頁位の掌篇なので、乗り換えの多い今の通勤でも丁度よく読めることに気がつきました。これまでもそうだったんですけど、このお話は「99のなみだ」っつーくらいですから、ほんと涙が出そうになります。今回も危なかった。
 生きていると哀しい事がいっぱいあって、でも自分が一番不幸だと思っているとつい悲観的な考えになってしまったり、他人に当たったりしてしまいがちです。でも自分以外の人だって同じように生きていれば当然哀しみを抱えて生きています。そういう事に想いが至って初めて他の人にも優しくしないとなって思えるんじゃないかと。
 憂いを知っている人が優しく慣れる。優しいという字はそういう意味なんだと、金八先生が腐ったミカンの加藤優に言ってました。「99のなみだ」は、他人の哀しみを通して自分の中の優しさを育てるシリーズです。
 まだまだ積んでるからどんどん読もっと。