私、小学生から高校生くらいまでどっぷりラジオにはまった世代です。最初はラジオドラマが好きで、TBSの「一慶・美雄の夜はともだち」の中での怪談ドラマ「夜のミステリー」とその前後にやっていた「ブラックジャック」「マカロニほうれん荘」「750ライダー」とかのマンガのラジオドラマ。それと同時期にニッポン放送でやっていた高島ヒゲ武の「大入ダイヤルまだ宵の口」ではまだTVでやる前の「欽ドン(欽ちゃんのドンといってみよう!、TVは「―やってみよう!」)」とか、その後のラジオドラマ。「サイボーグ009」とかやってました。
それからどんどん深夜放送に移っていって、「オールナイトニッポン」「パックインミュージック」「セイヤング」とか、勉強してるといいつつ、机に向かって教科書とノートを開いて、ラジオを聞いていましたっけ。
何故こんな話を枕にしたかというと、この物語はまさにこの深夜放送が舞台のお話だから。こういう深夜放送体験をした人にとってはとても懐かしく、共感出来るお話でした。時代は現代なんだけど、今、昔の自分たちみたいに熱心に深夜放送を聴いている若い人っているんだろうか…。
深夜、一人でラジオのむこうから聞こえるパーソナリティのくだらないお話は本当に楽しくて、翌日クラスで同じ番組を聴いている友達との共通の話題として盛り上がったものです。
そんな深夜放送の番組あてに自殺予告のメールが来るところから物語が始まります。「最後に番組を聞いてから死ぬ」と。放送局の偉いさんは番組で取り上げることはまかりならんというけど、ディレクターはどうしても気になる。とはいえディレクターも会社員、上司の命令には逆らえない。パーソナリティは人気絶頂の芸人さん。放送は1時から3時。「オールナイトジャパン」。オールナイトニッポンのパロディですね。さあ番組が始まる!第一声は…。
目次に時間がふられています。このお話は、メールが届いた20時から番組が終わる5時までのお話。できれば、丁度その時間に読むことをお勧めします。
もっともレビューを読んだりすると、深夜放送のワクワク感が判らない世代にとっては、どうも感触が悪いようですが、ドンピシャな世代にとってはとてもワクワク出来て、いいお話でした。
しかし五十嵐貴久さん。毎回いろんな趣向で楽しませてくれます。

- 作者: 五十嵐貴久
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2013/02/08
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