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「螢坂」

螢坂 (講談社文庫)
 北森鴻著・講談社文庫
 三軒茶屋にあるビアバー「香菜里屋」シリーズ3冊目。
・螢坂
・猫に恩返し
・雪待人
・双貌
・孤拳

の5編。

表題作「蛍坂」は、あるカメラマンが、好きだった人と別れ、戦場カメラマンとして中東に行ったものの、想像以上の戦場の様子を目の当たりにして夢破れ帰国。彼女に合わせる顔がなく実家に戻ってしまい家業を継いでしまう。16年後、様変わりした三軒茶屋を歩いていると偶然入った「香菜里屋」で彼女の友人に逢う。彼が日本を去った後の彼女は?彼女との別れ際に歩いた蛍坂の意味とは?
哀しくて切ないお話でした。

最後の「孤拳」は、年の近い叔父と小学生だった主人公の女性が、祖父の書斎で見つけた「孤拳」という名前の焼酎を隠れて飲んだ想い出から、その「孤拳」という名目の焼酎を探す話。叔父は主人公の女性に「孤拳」を探すことを託して病気で亡くなる。「孤拳」に隠された秘密とは…って話。これまた感涙のお話しで、この2作が特に私の琴線に触れました。


ちょっと変化球だったのが飲み屋のマスコットだった黒猫が亡くなり店の常連たちで顕彰碑を建てるけど実は…っていう「猫に恩返し」、再就職がなかなか上手くいかない男が隅田公園で奇妙なホームレスと出会った後「香菜里屋」に行きその話を工藤にすると不思議なことが始まる「双貌」、三軒茶屋再開発の陰で、強硬に反対した画材屋さんと金物屋さんの過去の話「雪待人」
 どれも「香菜里屋」の店名が書かれた光の柱のような柔らかく哀しい、でもハートウォーミングなお話しばかり。


本当にこんなバーがあったらいいなぁ。

これもお勧めです。

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