池井戸潤著・集英社文庫
久しぶりの池井戸本。タイトルはビジネス書みたいですが、中身は相変わらずの池井戸ストーリーでした。
中堅メーカーを舞台にした連作短編です。年上の部下が年下の上司をパワハラで訴える。始まりはどこにでもありそうなお話しでした。でも実はそこには会社ぐるみの大きな問題が隠されていた…。
会社は会社の論理で動いていく。そこで働く人間もまた階段を上がっていく為には会社の枠組みの中で生活をせざるを得ない。昔に比べれば、パワハラセクハラだけでなく、コンプライアンス遵守の意識が広まってきましたが、いまだに昔を引きずっている世代や会社もたくさんあります。
信用を築くには長い時間が必要ですが、失われるのは一瞬。これくらいなら…の甘い考えが、超大手の企業を廃業にまで追い込む。東芝、シャープ、名だたる優良企業が経営判断のミスで今や風前の灯。伝え聞くところによれば、ずいぶん無茶な目標を立てられ、営業はかなり締めつけられていたとか。大体いまどき根性とか気合で物が売れたらこんなに楽な事はありません。というか、昔から嫌いなんですよね、そういうの。昔はそういう管理職はよくいましたわ。
社会人になって、途中間接部門におりましたが、営業職が一番長い。無茶しないから目を見張るような成績はあげられないけど、少なくともお客様と良い関係を作っていく事は出来ます。会社と会社をつなぐのが営業の役割。でもそこに慣れ合いとかがあってはいけない。あくまでもビジネスとしてお互いにWIN−WINの関係を築いていくことが重要。でもそれを邪魔立てするのがやっぱり会社だったりするんですよね。
と、こんなことをいってるから、出世とは縁遠い人生になってしまったけど、そんなに後悔していません。会社の為に私生活を犠牲にして、気が付いたら自分のまわりには会社関係の友人しかいなくて、趣味らしい趣味も持たず、定年退職が来るのを怯えるなんて人いっぱいいますが、まっぴら御免です。それで得られるものは、生涯賃金で精々数千万程度の差なら今の生活の方がよっぽど有意義。勿論お金はあるにこしたことはないけど。
私にとって、会社以外で知り合えたたくさんの友人やいつも寄り添ってもらえる家族は、何物にも代えがたいまさにお宝です。
あ、全然感想になってないや。でもそんなことを改めて感じることができるお話しです。
仕事で悶々とする日々を送っている人にはお勧め。
![七つの会議 (集英社文庫) 七つの会議 (集英社文庫)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/519t9ukcl9L._SL160_.jpg)
- 作者: 池井戸潤
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2016/02/19
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (11件) を見る