終戦直後、新聞社の新人記者渋沢は、離島の火事の取材に向かう船に乗っていた。霧の中を進むその船が米軍の船に激突され沈没、渋沢を除く全ての乗客が死ぬ。漂流していた時に救助される渋沢。この事件を報じようとしていた渋沢だったが、会社の上層部から止めることを条件に戦後の体制の組み込まれ、政治部記者として数々のスクープを報じるエース記者に。それはその時の国の黒幕との関係が産んだもの。
その後、渋沢は所属する新聞社をベースにラジオ、テレビなどのメディアを支配下においていく。そして次のターゲットは電子書籍。
渋沢という男は、決して頭が悪いわけではないのだけど発想は貧困で、他人が切り開いたものを政治力で”横取り”していく。
正直読んでいて気持ち良いものではありませんでした。同じ経済小説でも池井戸潤ならこういう展開にはならないはず。もっとも、正義は必ず勝つ池井戸ものがフィクションで、こちらの方がより現実に近いのでしょう。
あらゆるメディアの覇権を掌握していく渋沢のやり方は凄いんでしょうけど、政治で何でも解決するのは好きじゃありません。
最後希望をもたせる含みのある終わり方ですが、一矢報いるところまで描かれていないのは絵的にはキレイですが、全然スカッとしません。小説としてもう少し後味が良いといいのになー。
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