ひし美ゆり子・著 小学館
ウルトラセブンの魅力の一つが友里アンヌ隊員であることは間違いありません。
たかがお子様向けのTV特撮、怪獣ものなのに、50年以上も愛されるとは、出演された人々も思っていなかった。当時のテレビ番組は、せいぜい穴埋めで再放送されることはあっても、本放送が終われば消えてなくなるもの。ところが、70年代後半から家庭用ビデオデッキが発売されて様相が一変、ソフトとして過去の作品が一気に脚光を浴びるようになった。
ウルトラシリーズが幸いしたのは、すべてフィルム撮影をしていた事。NHKは潤沢な資金があったので、ビデオ撮影をし、そのビデオを使いまわししてた結果、ソフトとしての2次利用、3次利用が出来ず、どんな名作も消えてしまっている。2000年に入り、家庭用ビデオで録画されたものを提供してもらって復刻をしている有様。名作の少年ドラマシリーズもそのほとんどが今はもう見ることができない。
「万華鏡の女-女優ひし美ゆり子」に続いての”アンヌ本”。個人的にアンヌ(ひし美ゆり子)ブームが続いています(^_^;)。こちらは「ウルトラセブン」を1話ずつ当時の思い出を絡めながら綴ったもの。20年前同形式で「セブン セブン セブン -わたしの恋人ウルトラセブン」というエッセイ集を上梓され、当然読んでいますが、今回はその中での思い違いを訂正したり、新たに思い出した事を書き綴られています。ひし美さんはもう50年も前の作品について断片的ながらもしっかりと覚えていて、こういった記憶の反芻がひし美さんを今でもアンヌ隊員たらしめているんだと実感。ウルトラセブンの登場人物やスタッフも続々と鬼籍に入っている今、このような回顧録を出版してもらえるのは大変貴重です。いつまでもお元気でいて欲しいですね。
- 作者:ひし美 ゆり子
- 発売日: 2017/07/03
- メディア: 単行本