吉野源三郎著・岩波文庫
2018年に突然マンガ化されてじわじわと部数を伸ばし最終的には200万部を超える大ヒットとなった原作本。
主人公のコペルくんは、旧制中学2年生。2年前に大きな銀行の重役だったお父さんを亡くし、お母さんと暮らしている。お母さんの弟である叔父さんが近所に住んでいて昔から仲良くしています。
叔父さんは、コペルくんとのやり取りをノートに記録しており、そこには、コペルくんが発見した社会の有り様やこころの成長について書かれています。
子供向けに書かれているとはいえ、コペルくんはすごくまっすぐ育っている。
それは、コペルくんの素直さや幼いながら社会の本質を見抜こうとする気持ちだけでなく、理解のある叔父さんやお母さん、素晴らしいお友達の水谷君、北見君、浦川君のいるおかげ。
自分の年齢からは40歳以上もの子供なのに、叔父さんよりも年上な自分が、コペルくんの喜びや悲しみにハッとさせられる。
これを子供のの頃に読むのに相応しい内容であるだけでなく、汚れてしまった自分をリセットする気持ちにもさせる名著であることは間違いありません。
これが戦前に書かれた話というのが驚き。コペルくんは戦争末期には徴兵の年齢になる。これから戦争のただなかに進んでいくコペルくんがどう生きていったかが気になる。幸せな人生を歩んでいったことを願ってやまない。
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