1931年米映画。
チャップリンの映画には傑作が多いが、わたしにとってのNo1は間違いなく『街の灯』です。
盲目の花売り娘に恋をしたチャーリーが孤軍奮闘して生活を助け、目を治してあげようと奔走する。ひょんなことから知り合いになった酔っ払うと妙に気前のいい富豪から1000ドル恵んでもらってそれを少女に渡すけど、泥棒の罪を着せられて監獄へ。
出所後あの花売り娘は目の手術を終え光を取り戻している。
娘はいつか紳士が来てくれると期待している。
・
花屋の店先で、新聞配達の少年にからかわれているチャーリー。
落ちた花を拾うチャーリー。
目の前には、あの娘。
娘はあの紳士が目の前の浮浪者とは夢にも思わない。
花を一輪差し出す。
遠くから手を伸ばし受け取るチャーリー。
(おそらく、手が触れたら自分があの紳士だとばれてしまう、そうしたら娘の夢を砕いてしまう、そう思ったんじゃないかなぁ)
ついで、娘はコインを恵んであげようとチャーリーの手を取る。
・
懐かしい感触。
娘「あなたでしたの?」
チャーリー「治ったんだね。」
娘「ええ、見えるようになりましたわ。」
ENDMARK。。。
娘は、決して裕福な家庭ではないし、目が見えない不幸な少女だ。
でも、優しさや高貴なこころを持っていて欲しい。
だから、英語では"YOU?"だけど
訳は『あなたでしたの?』が正しい。
最近、いくつかのメーカーから500円廉価DVDでこの作品が出ているが、
『あんたが?』
『あなたが?』
『あなたなの?』
と、全く下品な女になってしまっている。
チャーリーを受け入れてくれとは思わない。夢にまで見た紳士が薄汚い放浪紳士じゃあまりにも違いすぎる。
でも、受け入れて欲しい。
その葛藤が『あなたでしたの?』という言葉に集約されるわけで、
上記3つのような訳では、落胆と拒絶しか感じ取れないじゃないか。
というわけで、
朝日新聞社版『街の灯』必見です。