高嶋哲夫著・文春文庫
「東京大洪水」に引き続き、高嶋哲夫を。
日本アルプスで火球を観、偶然カメラに収めた報道カメラマン西崎は、自衛隊機の爆発と考え、山仲間の新聞記者、落合を誘い冬の日本アルプスに向かう。その少し前、横田基地に何者かが侵入、銃撃戦の末1名射殺、1名が逃亡する事件があった。墜落したのは米軍の最新鋭ステルス爆撃機。しかも核弾頭付のミサイルを装備していた。この事件を追いかけるのが、西崎の別居中の妻、慶子。
この2人を軸に、日本アルプスと東京の物語がそれぞれ進行し、ひとつの物語に収斂していく。
構成としては見事で、後半は特に面白かったです。あえていえば、これは山岳小説です。沢木耕太郎の「凍」新田次郎「八甲田山死の彷徨」夢枕獏「神々の山嶺」など山岳小説は結構好きですが、寒いの苦手なんで、好きこのんで冬山に行こうとは思いません。こればっかりは体験しなくても良いです。そういう意味で小説での追体験はありがたいです。
難をいえば、頻繁に山の状況と都内の状況が変わる事。同時進行している話なので、時制上このような構成もありかもしれませんが、頭の中にキャラクターがイメージされていない序盤からこの方法だと、節が変わった時に情景がすぐに切り替わらない。であれば少しおおくくりになるけど、章毎にシーン入替をした方が私的には読みやすかったかも。
これ、映画化されているのを発見。今度見てみよっと。
- 作者: 高嶋哲夫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2003/04/10
- メディア: 文庫
- クリック: 14回
- この商品を含むブログ (48件) を見る