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「ラストワンマイル」 を読む。


 楡周平著・新潮文庫


 "ラストワンマイル"とは、一般的にはIT用語で、ユーザー宅と一番近い加入基地局を結ぶ行程のこと。
 この小説の主人公は物流業者。そこで言葉を物流に置き換えて、商品を運ぶ最終行程、つまり販売者と購入者をつなぐ物流業者こそ”ラストワンマイル”を保持している強い立場だという事を指しています。
 物流業の世界はあんまし詳しくないけど、確かに運送屋と一段低く見られ、景気が悪くなると価格交渉の対象となる業界。しかし、見方を変えれば、今の経済を回しているのは間違いなく物流業者です。特にインターネット通販がここまで浸透してくると物流業者の必要性はいや増す。今日頼んだものが翌日着いたり、場合によっては今日中に着いてしまったりする。ロジステックを制するものが日本、世界を制するんですね。

 さて、この「ラストワンマイル」は、同じ新潮文庫で出ている「再生巨流」の姉妹篇のようなもの。両方とも物流業界を描いており疲弊した業界で、新たなビジネスを生みだすという構成も一緒。取引業者に煮え湯を飲まされたサラリーマンが思いついたアイデアが、周りを巻き込みながら会社全体のニュービジネスになっていくのは、なかなか爽快。
 

 フランスの哲学者、アラン (Alain)( エミール=オーギュスト・シャルティエ(Emile-Auguste Chartier, 1868年3月3日 - 1951年6月2日))の言葉、「安定は情熱を殺し、緊張、苦悩こそが情熱を産む」を座右の銘としている敵味方の戦いも見もの。


 やっぱりIT業界って胡散臭いよね。しっかりとものを作り、地に足の付いた、まさに実業をすることが人間として真っ当なんだろうなと思いました。


 サラリーマン諸氏にお勧め!


 

ラスト ワン マイル (新潮文庫)

ラスト ワン マイル (新潮文庫)