新堂冬樹・河出文庫
短編集。
新堂冬樹には、目を背けたくなるほどのノワール物の"黒新堂"とそんな要素のかけらもない純愛物の"白新堂"があります。この作品集は、タイトルは白新堂っぽいけど、中身は黒新堂でした。
4通の物語のうち最初の2本は、国民的大家族アニメのパロディ。よくできた婿、マスオさんがどんな思いで生活しているか、その内面を描いています。2本目は、その大家族のお母さんが若いツバメと不倫をする話。
フネさんって、アニメ設定では52歳ですが、原作では48歳の設定。私と同い年!昔の48歳は、確かに落ち着いていて今の48歳とは全然違います。そういえば、自分が幼稚園、小学校の頃は、入学式、卒業式とかは和服で来るお母さんとか普通にいたもんなぁ。恐らく20代後半から30代だったに違いない。たかが40年くらいで日本はずいぶん変わりました。
今の48歳(カミさんも同い年)は、ずいぶん若い。和服を普段着として着る事もないし、若い子と遊んでいてもさほど意識の違いは感じない。まぁそう思っているのは自分だけで、若い子たちにして見れば、「おっさん無理して張り切ってんなぁ」と思われてるかもしれないけど(^-^;)。
人って、いろんな顔を持っています。
自分だって、会社の顔、家庭での顔、コミュニティAの顔とコミュニティBの顔は夫々重なっているところも多いけど、違う側面も間違いなくあります。それは、夫々のコミュニティの共通言語が異なるから、というのも理由。仕事をする場合は仕事の話、音楽の話をする仲間とは音楽の話、ゲームをするときはゲームの話。状況が異なれば、夫々使い分けをするのが普通だと思う。ただ、根本的な部分、パソコンでいえばOSにあたる部分っていうのは変えられない。それと、自分の場合、このblogで自分の色々な面を詳らかにしているので、逆にコミュニケーションを取りやすいというよい面もあります。
3話「邪(よこしま)」4話「嫉(ねたみ)」は、サザエさんネタとは離れたもの。 正直、前2本のパロディよりも後半2話の方が私的には面白かった。嫉妬に狂う中年男は見苦しいが、気持ちは分からないではない。男ってなんだかんだいって、自分に自信がなくて、哀しい生き物なんです。
すぐ読めます。
- 作者: 新堂冬樹
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2006/11/03
- メディア: 文庫
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