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「菊の御紋章と火炎ビン―「ひめゆりの塔」「伊勢神宮」で襲われた今上天皇」

 
菊の御紋章と火炎ビン―「ひめゆりの塔」「伊勢神宮」で襲われた今上天皇 (文春文庫)
 佐々淳行著・文春文庫
 
 警察官僚としての人生を綴った自伝シリーズのひとつ。昭和50年の警察庁警備局警備課長、三重県警本部長時代の2つの事件、「ひめゆりの塔事件」と「伊勢神宮放火事件」の2つの皇太子夫妻を襲った事件について、警備方針策定の混乱から当日まで詳細に描かれています。
 官僚になったら目指すは事務次官、警察でいえば警察庁長官。佐々さんの最終職歴は防衛施設庁長官。その後乞われて内閣安全保障室長になっています。
 60年代から70年代にかけて左翼活動が激化、有名な東大安田講堂の攻防やあさま山荘事件など警備事案目白押しの時代に、第一線で指揮を執り続けていた佐々さん。ノンキャリアの一兵卒には判りえない指揮官の苦悩がここでも描かれます。
 何事においても真っすぐな佐々さんの行動は、自分の地位を守ろうとする一部の上官、政治家には煙たがられ結局トップに上りつめることはできなかった。その辺の恨み節も含め、佐々さん自伝シリーズの中でも特に名指しで駄目上司、政治家が出てきて読んでると面白い。特にこの本の初版(2009年)当時は、民主党政権。かつての左翼の闘士菅直人が総理大臣、安田講堂事件の中心人物仙谷由人官房長官という売国政権だったというのは、2015年現在全国民の知れ渡るところとなり、いまや民主党は見る影もないし、今後2度と彼らに政権を委ねる事はないにちがいありません。


 警備局を中心にまさに警備の神様としての警察官人生を送ってきた佐々さんでしたが、まぁ正直過ぎたってこと。それとこれだけ上司批判をしながら、トップではないにせよそれなりの地位まで登りつめたというのは「出る杭は打たれるけど出過ぎた杭は打たれない」というのを地で行った感が強い。
 佐々さんは昭和5年生まれ。家の父親は4年生まれ。佐々さんの著作に触れるのは、私としては父から薫陶を受けているような感じ。でもねぇ、こういう能力はあるけど世渡り下手な人という人の人生は、佐々さんみたいに強い人だからできることで、私のようななんの能力もない一般人は、簡単につぶされます。もっとも佐々さんのような正しい事を正しいと言い続け、実践する為に努力をする姿勢は、地位や収入に結び付かなくとも大切な事だし、それを見てくれている人は必ずいると思うのです。