伊藤薫著・ヤマケイ文庫
1977年の橋本忍脚本・森谷司郎監督の「八甲田山」は名作で、当時ロードショウで見て以来、何度も観ています。その為、元となった「青森五連隊雪中行軍遭難事件」のほぼノンフィクションと思っていたら、事実は全く異なっていました。著者の伊藤さんは、青森第5普通科連隊、事件のあった青森第5連隊後継部隊の元自衛官。一時資料である陸軍省の事件報告書だけでなく、当時の新聞、生き残った方の証言など、この事件について様々な角度から調べ真実を見つけていく。新田次郎の「八甲田山死の彷徨」と映画「八甲田山」の見方が変わる本ですが、事実を知りたい人は絶対に読むべきノンフィクションの労作です。