鎌倉にある旧華頂宮邸は、春秋年2回しか内部公開していません。古い建物、特に洋館好きなカミさんと私、せっかくだから行こうということになり、今年の春の一般公開が、今日明日の2日間ということを聞き行くことに。
せっかくなので、他の鎌倉の建物を回ってきました。
まずは、現在鎌倉文学館として 公開されている前田家鎌倉別邸(旧前田利為鎌倉別邸)に。
旧前田利為邸は、1890年頃第15代当主の前田利嗣侯爵がこの地に土地を手に入れ、和風建築の館を建てたことから始まり、1910(明治43)年に火事により消失、その際に洋風の建物として再建。次に1923(大正12)年に関東大震災で倒壊、それを再建したのが第16代当主の前田利為です。この時の建物はレンガ造りの二階建で、1927(昭和2)年には庭園も完備。2度目の建築工事が完成したのが昭和11年、で現在に至る、って感じ。戦後は、デンマーク公使が別荘として使用し、昭和39年からは佐藤栄作元首相が借りて、亡くなる前まで週末の静養地としており、ノーベル平和賞の受賞の知らせも、この館で受け取ったと言われています。
建物内は撮影禁止とのことで写真はありませんが、そこかしこにステンドグラスがはめ込んであり綺麗。
駒場の旧前田侯爵邸も以前行きました。加賀百万石ていうくらいですから前田家って相当な金持ち。一般市民とは異なる世界で生きていたんでしょうねぇ…。
次に行ったのが近くにあった対象から昭和にかけての少女小説を量産した作家、吉屋信子邸。
現在は春と秋の土曜日とGWだけ記念館として一般公開されています。近代数寄屋建築の吉田五十八が設計したもの。吉田五十八は、先日行った御殿場の岸信介邸を設計した人。華族の豪邸とは違い、実用的ながらも粋を感じます。書斎の作り付けの机の天井には明り取りがあり、障子が小窓になって裏庭にある藤棚がみえるようになっていたりします。
見学者のほとんどが、当時吉屋信子の描く物語を嬉々として読んでいたであろう妙齢のご婦人たち。男性は私を含め2,3人しかいませんでしたw
江ノ電で鎌倉駅に向かい、新しくなった段葛に。昔は桜のトンネルのようになっていましたが、2014年からの改修で道も桜もリニューアル。昔のようになるのは何十年先か…。
で、お昼は小町通りの蕎麦屋かまくら山路へ。自家製粉・石挽・手打ち。1300円のおろしそば。辛味大根おろしが絶妙にうまい。小町通りからアプローチがあって少し奥まっているので静かな雰囲気。場所代考えればこんなもん。
さて、次は本日のメイン、華頂邸に。
鎌倉駅から浄明寺行きのバスで10分くらい。近くには竹林で有名な報国寺があり、同乗の方々は報国寺に行く方が多かったっぽい。私たちは報国寺を過ぎて、奥に進みますと瀟洒な洋館に。
旧華頂宮邸は、昭和4年の春に華頂博信侯爵邸として建てられたもの。平成8年5月鎌倉市が取得、平成18年4月には市の景観重要建築物、同年10月に国の登録有形文化財(建造物)に指定され、ここも春(4月)と秋(10月)にのみ内部一般公開されています(フランス式庭園は常時公開)。
華族の家っていうのは、本当に贅を尽くしてあって、天井は高く部屋毎のシャンデリアも凝っています。そこら中に大理石が使われていて、今となっては住みにくそうな感じですけど、使用人がたくさんいて掃除も行き届いて、庭の手入れなんかも自分でやらなくてもいいんだろうなぁ。やっぱ庶民とは違います。
前田鎌倉別邸も華頂宮邸も薔薇が綺麗とのことでしたが、今は時期はずれ。来月くらいがちょうどよい。
見学するたびに思うのですが、昔のお金をかけた家というのは何もかも別格で、明治維新以降、西洋文化に追いつこうと必死に取り入れた技術を日本の建築家が咀嚼してとてもいい雰囲気を醸し出しています。
とはいえ、高温多湿の国柄、維持するにも相当の苦労があって、引き継いだ子孫たちの負担になってしまっていたり、いくらステキな建物でも現在の建物と比べてしまうと確かに住みにくいものなので立て直してしまうというのもわからないではありませんが、間違いなく文化的な宝だと思うので、国や行政が買い取り管理して行ってほしいなと思います。かといって駒場の前田邸のように、リノリウムで床を貼ってしまったり、無造作に蛍光灯を付けて役所の別館的な使い方をするのはもってのほか。やっぱりちゃんと文化遺産としての保護保全をして欲しい。そういうところに税金を使われるなら全然惜しくありません。
おそらくこれらの建物は、今建てることは金額的にも技術的に不可能なものばかり。やっぱり大切にしていくべき日本の宝たちだと思います。
本当はこの後北鎌倉の円覚寺に行きたかったんですけど、ちょっと遠いので、横目で通り過ぎた報国寺と鎌倉五山のひとつ浄明寺に。
報国寺の孟宗竹の竹林は見事。時間がなかったので散策のみ。
浄明寺は参道の桜並木が綺麗でした。
久しぶりに鎌倉散策。
天気も良くリフレッシュできました。
これから夏にかけて、花のきれいな時期。明月院の紫陽花を見に6月くらいに出かけてみようか。。