「99のなみだ」シリーズ、結構読んでます。短編なので、乗り換えの多い今の通勤にはちょうどよいです。
今回も12話、十分感動させてもらいました。「― 桜」のタイトルから、今の季節に合う感じが多かったように思います。
九州に住む夫の曽祖父が亡くなり、小さい子どもを連れて向かう事になった若い母親。子どもがいつ泣き出して迷惑をかけるのか気が気でない母親は、行く先々で様々な人に助けられて人の優しさに涙する「社会の宝」。大学に入り、バイトをすることになった主人公。父親と同じくらいの年齢の渡瀬さんのドライバー助手になって、渡瀬さんの過去を知り、渡瀬さんの為に頑張る「渡瀬さんの後悔」。
中でも一番身につまされたのは、まさに私と同じ結婚25年目に会社をリストラされ、更に家に帰ると奥さんから離婚を切り出される。その時、若い頃高校の正門近くにあった桜の木を思い出し帰省する。この桜は、3つの願いをかなえてくれる"願い桜"ということを先生に教えられ、これまで2回確かに願いをかけてくれた。最後にこの桜にもう一度願掛けをしようとしたところ、桜の木は枯れ、切り倒されることが決まっていた。そこで主人公は、会社を辞め、もう一度この桜を復活させようと奮起する話「願い桜」
どの話も、そんなにうまくいくかな?と思える話で、恐らくフィクションなんだろうけど、でもいいんです。世知辛い世の中で、うまくいくことなんか数えるほどしかなくても、たまには奇跡的にいいこともあって、そういう奇跡みたいな良いことをよりどころに人間って生きているんだと思うんです。こういう感動体験は自分ではなかなかできないけど、この12の掌編を読むことで「明日も生きてみようかな」って思えるのってやっぱり必要な事だと思うのです。
「99のなみだ」シリーズ、本屋さんで見つけたらぜひ読んでほしいです。何かしら感じるお話しが必ずあると思います。
99のなみだ・桜―涙がこころを癒す短篇小説集 (リンダブックス)
- 作者: リンダブックス編集部
- 出版社/メーカー: 泰文堂
- 発売日: 2012/03/01
- メディア: 文庫
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