野村芳太郎監督・1978年・松竹
野村芳太郎は松竹の名監督。特に「事件」前後の「砂の器」(74年)、「鬼畜」(78年)は邦画トップクラスの名作です。
ここで描かれる事件そのものは、一人の男を姉妹が取り合って、姉さんが殺されるという陳腐といえば陳腐なお話なんですが、2時間20分、法廷劇に回想シーンをうまく挟み込み飽きることなく見れます。
殺されちゃうお姉さんは松阪慶子、妹は大竹しのぶ。この2人の演技がまた素晴らしい。ほとんどしゃべらないけど佐分利信の裁判長の重厚な演技も目が離せません。一応主役は朴訥な青年を演じさせたら日本一の永島敏行。
舞台は見知った神奈川県南西部。松阪慶子と大竹しのぶの家は、かやぶき屋根の貧農。今となっては通勤圏内のベッドタウンだけど、高々30年ほど前はこんなに田舎だったんですねぇ。松坂慶子は母親の再婚相手に家で襲われて、逃げるように家出をして、新宿で水商売をするように。その後実家のある街に戻ってきて、スナックをオープンする。そこを舞台に情夫のチンピラ渡瀬恒彦と永島敏行が松坂慶子を取り合う。永島敏行を気に入っている大竹しのぶは、松坂慶子に「誘惑しないで!」と詰問するが、欲しけりゃ自分で奪えという。
結局、派手ではすっぱな感じの松坂慶子が哀しく、純情そうな大竹しのぶの方がしたたかだということを暗示したようなラストシーン。
女って怖いなって思わされます。
この映画、公開の時に映画館で観てるんだけど、当時まだ中1。この映画を観るために映画館に行くことはないから、何かと同時上映だったはずなんだろうけど、全然覚えてないや…。
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