日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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「星空のむこうの国」(リメイク)


2021年・小中和哉監督
(公開2日目なのでネタバレ、旧作との差異はできる限り含まないようにします)
1986年公開の作品を小中監督自らリメイクされた本作、昨日16日からやっと公開になりました。
今日は出演者監督の舞台挨拶のあるキネカ大森に行って観ることができました。

86年版はこのblogでも何度も触れているくらい、自分の映画人生の中で不動のベストワン、殿堂入りの作品です。小中監督からは、ずいぶん前に懇親会の席で「『星空のむこうの国』をリメイクしたい」というお話をお伺いしていましたが、正直リメイクにいい印象は持っていなかった為、その時大変失礼なことに否定的なことを言ってしまいました。今も、セルフリメイクにせよ別監督によるリメイクにせよ、オリジナルを越えたと感じた作品はありません。ですので、今回のリメイクにも正直不安があり、大好きな「星空のむこうの国」がどうなってしまうのか心配でした。それを確かめる為にとにかく早く観たかった。

 しかしすべては杞憂でした。

 オリジナル版はいまだ原点としての輝きを放ち続けています。でも、35年を経てリメイクされた今作は、私たち旧作ファンも納得できるだけでなく、これからの若い人たちに向けて新たな一歩を踏み出す素敵な作品に仕上がっていました。今日の観客も9割方若い女性(恐らく昭雄と尾崎のファンの方々?)。彼女たちが伝道師となって「星空のむこうの国」を広め、ずっと心に持ち続けてほしいなと思います。

 86年当時、予算の都合でできなかったこと、ここはこうしたらもっと良くなるのに…と思っていたことが余すところなく入っていて、ストーリーラインの変更も、オリジナルより良くなっていると思います。その一方で、セリフだけでなく、残すべきところはしっかり残っていて、特に、「昭雄と理沙と出会わない世界はモノクロ、2人が出会った世界はカラー」という色による表現は旧作通り。しかも各所の合成がすごくよくなっています。さすが小中監督、ウルトラマンをたくさん手掛けただけのことはあります(笑)。旧作の手作り感、あれはあれでよいんですけどねw


 新しい昭雄は、『蜜蜂と遠雷』の天才ピアニストの役で映画初主演、つい先日までTBSドラマ「ドラゴン桜2」で藤井遼を熱演していた鈴鹿央士くん。新しい理沙は、『惡の華』の佐伯奈々子役の秋田汐梨さん。新しい尾崎は、avexの音楽ユニットlolの佐藤友祐くん。
 新しい配役の3人は、それぞれ難しい役をしっかり自分のものにして好演していました。特に理沙は、難病に侵されながら気丈に振る舞い、でも儚げである世界の理沙と、ラストシーンの健康な理沙をちゃんと演じ分けていて、オリジナル版の有森也実さんに引けを取らないかわいさでした。
 尾崎もオリジナルとは異なるキャラ設定ではありましたが、理沙への密かな想いを胸に秘めつつ、昭雄と理沙の願いに協力をしていくだけでなく、自分の世界の昭雄を助けられなかった自己嫌悪に向き合うという旧作にはない感情表現が素晴らしかった。
 そして昭雄。
 鈴鹿君は、旧作の神田裕司さんに勝るとも劣らない繊細な演技で、たまらなくよかった。理沙を守る姿も限りなく優しく力強かった。

 正直、リメイク話をお聞きした時に、ここまで3人を演じられる若い俳優がいると思いませんでした。

 新しく追加されたシーンとしては、昭雄が死んだ世界の妹、夏美と、昭雄に恋心を抱く後輩2人が物語にちゃんと絡んできます。
 この追加も決して邪魔なものになっておらず、逆に物語に深みを与えて、より昭雄のキャラクターを浮かび上がらせていました。オリジナルの時からもう少しストーリーに絡ませても面白いかと思っていました。

 昭雄と理沙にかかわる大人として、旧作にも登場した理沙の主治医上田と、新たに理沙の母親、恭子が出てきます。
 上田は医師として非科学的なことを一切受け入れませんが、研修医時代から担当している理沙のことをすごく心配している。
 旧作で理沙を演じた有森也実さん演じる恭子は、理沙の身を案じつつ、”星空のむこう”からやってきた昭雄の存在を受け入れていきます。これが、今回はリメイクなんだけど、もしかしたら、35年前の理沙が母親となった35年後の世界としてもありだよなと思わせてしまいます。娘と母親は、人格は違えど思考回路は似ているのかもしれません。
 そういえば、うちの息子と私も考え方とか似ていると感じることありますわ…。


 1986年版の「星空のむこうの国」は、私にとって宝物のような作品です。でも今の若い人たちにとっては、生まれる前の古い映画。古い映画好きという人なら辿り着くこともできるでしょうが、上映はほとんどなく、DVDも絶版と、いかんせん敷居が高い。
 今回、新しい作品として改めて「星空のむこうの国」が今最も旬な俳優さんたちによって作られたことは、ここを起点に再スタートを切ることと同義です。今回観た若い人たちから、多くの人たちに広がっていってほしいと心から思います。


 そーだなー、お友達にお勧めするときの言葉は、
鈴鹿君や佐藤君ファンなら
「最高の演技、かっこいいよー」でいいし、
 映画、アニメ好きなら
「『君の名は。』が気に入ったらこの作品も絶対いいよー」
とかよいかも。
恋に恋する、恋愛もの好きなら
 「自分の好きな人が、一生懸命駆け付けてくれるの。」
でもよいですね。

 ”知る人ぞ知る”作品から、”2021年を代表する”作品になってくれるとよいなぁ。
 それだけのポテンシャルは持っていると思います。
 沢山の人に見てもらいたい作品。
 とてもやさしい気持ちになること請け合いです。
 

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